トゲの鋭いものから綿毛のように柔らかいものまで様々な種類のあるサボテン。その独特な姿に魅せられるサボテンの育て方やおすすめの種類をご紹介します。
「サボテンは丈夫で育てやすい」といわれますが、日本の四季という特殊な環境下では、しっかりと世話をしてあげないとうまく育てられない種類もあります。
日々のサボテンの様子を観察しながら、ご自身の環境に合わせて置き場を変えたり水やりの回数を調節するなど、試行錯誤の中でサボテンとの付き合い方を考えていくしかありません。
サボテンとは、北米や南米、メキシコなどで自生する普段あまり雨の降らない乾燥した場所でも生きられるように、茎や葉、根などに水分や養分を蓄え生き延びるために進化した植物です。
同じように葉に水分を蓄えて生きる多肉植物との違いは、トゲの根元に刺座(しざ)と呼ばれる綿毛のような器官があるかどうかが区別になります。よくサボテンを観察すると、品種によって綿毛の量に違いはありますが、確かに存在します。トゲのある多肉植物もありますが、この刺座(しざ)はありませんので、ご自身の多肉植物やサボテンを観察してみてください。
乾燥した自生地が多いサボテンなので、日本のような高温で多湿な夏は生長障害を起こしたり、水を吸い上げる力がない状態で、水やりの頻度が多いと根腐れを起こしてしまうなど、夏の管理には特に気をつける必要があります。
夏の時期の水やりは鉢を持ち上げるなどして、用土がしっかりと乾き切った状態を確認してから行います。水やりの時間帯も高温となる昼間にしてしまうと、鉢内が高温となり水分で蒸れてサボテンが枯れてしまうことがあります。日差しの落ち着く夕方ごろに水やりをするようにしましょう。
市販の多肉植物・サボテンの用土で問題ありません。一般的な観葉植物用の培養度を使用すると、水もちが良過ぎて根腐れを起こしやすくなりますので避けましょう。自作で用土を作る場合は適度な保水力のある赤玉を多めに、鹿沼土、軽石など水捌けの良いものと混ぜて、育てる環境に合わせて調整したものを使用します。
植え替える時期は休眠期である冬を除けば、年中植え替えても問題はないと思います。植え替えが必要な理由は、根鉢と呼ばれる根が鉢いっぱいに周り、新たな根を出すことができず十分な水捌けもできないので、病害虫や生育障害を起こすリスクを減らすために行います。植え替えはサボテンの大きさに対して一回りくらい余裕のある鉢に植え替えます。
大きすぎる鉢に植えると用土の乾きが悪くなり根腐れを起こすことがあるので、育てる環境を考慮して選びましょう。
サボテンは日光をよく好みます。トゲや綿毛で全身を覆われているようなサボテンは日差しにも強いです。トゲが多少遮光としての効果があると思います。逆にサボテンの肌が見えているタイプは、直射日光は葉焼けを起こす可能性があるので遮光した方が良いでしょう。
軒下や1日に数時間しか日の当たらないような環境であれば遮光も不要ですが、終日当たる場所では風通しをよくしたり、30%〜50%くらい遮光する必要があります。
サボテンの自生地でも高山性のサボテンは寒さに強く、霜を当てなければ戸外でも越冬は可能です。ただし、冬のサボテンの管理は断水気味に管理して、冬に入る前に徐々に水やりの回数を減らして、サボテン内の体液を凝縮させて越冬の準備に入らせるようにしましょう。
室内に取り込む際は、窓辺に置いておくと夜間の冷気に当てられてサボテンの肌を痛めてしまうので、緩衝材や少し内側に置くなど配慮するようにします。
個性豊かな姿の多いサボテンの中で育てやすい品種をご紹介します。
総称で有星類といわれ、一般的なサボテンのイメージである刺で覆われた姿と違い、中心から四方に稜線が入り丸みを帯びた姿が特徴の人気のある種属です。特に兜丸というトゲの代わりに白い毛イボがある種は、その形や綾の数、バランスなどで価値が大きく違い、コレクターも多く、大変高価に扱われるものもあります。
白い斑点が全体を覆い白銀緑に見える。生長は遅い。
サボテンの中でも種類が多く、一部を除いてですが、寒暑多湿に強く初心者にも育てやすい種類です。直射日光よりもやや弱めを好み、真夏の高温が苦手なものが多く、風通しを良く乾燥気味に育てた方が、ハリ・艶のある肌になる気がします。花も美しいものが多く、緋と黄などの葉緑素が無い斑入り種も美しい属でおすすめです。
深い青緑の肌に疣をつかむ悪魔の手のようなかぎ爪の刺が魅力のサボテン。
メキシコ原産で、強刺類と呼ばれるサボテンの中でも刺が大きく一般的にサボテンというとこの種属のイメージが強い気がします。日光を好み、生育期は土が乾いたらたっぷりと水をあげます。湿気は黒いカビが生えやすいので風通しの良い環境で日光のよく当たるところで管理します。休眠期や真夏の時期は蒸れに弱いので、水やりは控え気味に風通し良く乾燥気味に管理します。赤や黄色の刺、大きく綺麗な花を咲かせるのも育てる楽しみです。
比較的丈夫で育てやすく生長も早いので初心者におすすめ。
メキシコおよび米国南西に分布される円柱状に育つ小型種。乾燥や寒さにも強く育てやすいサボテンで、花の色も赤、ピンク、黄色など様々な種類があり、どれも自身よりも大きな大輪の美しい花を複数咲かせます。花を鑑賞するために育てる人も多い種属でもあります。
赤紫の刺が彩るグラデーションが美しいサボテン
南米の高地に分布される円柱状に育つサボテン。4、5メートルほどの大型種もあり、刺の一部である白いふわふわした綿毛のようなもので覆われている。強健種で乾燥や寒さにも強く育てやすいサボテン。植物学者であるニコラス・E・エスポストが名前の由来。果実は甘く美味しいとのこと。
ふわふわとした毛で覆われた可愛らしいサボテン
緻密な白い刺で覆われた小型のサボテン。基本的には単頭で生長しますが、成熟してくると子を吹いてきて群生してくる個体もあります。胴切りを行うことで強制的に子株を出して群生にするのが一般的です。生長速度は遅く多湿に弱い品種が多いです。
緻密な白い刺で覆われた小型のサボテン
一般的に「ウチワサボテン」と呼ばれる、節で区切られたような茎の部分(茎節<けいせつ>)がウチワの形をしているサボテンの代表格。茎節がウチワでなはなく筒状のものもあります。自生地が高山地であるものが多く、耐寒性があり丈夫で育てやすい種属です。
とても強健で育てやすいので初めてサボテンを育てる方にオススメ。
縁刺(へりさし)と呼ばれる円輪状に生えた刺が特徴の小型のサボテンです。子吹きが旺盛で根が太く直根です。花も黄色からマゼンタと華やかな花をたくさん咲かせます。
山岳地帯に自生する小型のサボテン。丸みを帯びて小さく群生する姿が可愛らしい。
通称「柱サボテン」と呼ばれる品種です。その名の通り柱状に生長するサボテンで、寒さにも暑さにも強い品種が多いのも特徴で、とても育てやすいサボテンです。生長点が複数ある綴化した品種もありそれらも含めて昔から楽しまれてきた普及種です。
生長点が複数ある綴化した独特なフォルムと黄金色の刺が作り出す力強さや生命力が魅力のサボテン
セレニケレウス属(Selenicereus、クリプトケレウス属(Cryptocereus)、ストロフォカクツス属(Strophocactus)、デアミア属(Deamia)などが統合された種属で、ほとんどが一夜限りの夜開性でとても良い香りのする大輪の美しい花を咲かせます。耐陰性もあり室内管理でも育てやすいです。
ジグザグな茎節が特徴のサボテン。大輪で美しい花は香りもとても素晴らしい
南米を原産地とした球状の茎節を重ねて生長する高山性のサボテン。とても強健な品種が多く酷暑も比較的耐えられます。耐寒性も高く5度くらいでも水を切れば越冬できるものが多いです。刺の根本に小さな細い刺が生えるものがあり、その棘が厄介なので扱いには注意が必要です。
重なり合う節から紙切れのような白い棘が生えるサボテン。刺の根本の小さなとげには要注意
特徴的な疣のような肌に纏うような短い刺が生える見た目も可愛らしいサボテン
松ぼっくりのような見た目の可愛らしいサボテン。
マミラリアはメキシコを中心に確認されており、全身を覆う突起状の疣の先から刺が生えている姿をしています。また、刺の付け根である刺座の縁から円輪上に生える縁刺(へりさし)と呼ばれる刺が特徴で、ほとんどのマミラリア属が白色の縁刺で覆われています。強健な種類が多く、耐寒性も高いため育てやすいサボテンです。
とても強健で育てやすいサボテン。白い縁刺で覆われているものが多い
白い毛のような刺で覆われたフサフサの見た目が可愛らしいサボテン。
白い毛で覆われた姿に黄色のカギ刺が特徴の小型サボテン。
中南米を中心とした夏型のサボテン。その大きな特徴は成熟してくると現れる、花座と呼ばれる花が咲き種子をつける器官です。その独特な姿から昔から鑑賞価値の高いサボテンとして人気です。耐寒性は低いとのことですが、冬は10度を下回る環境でもうまく越冬することができていますので、とても丈夫で育てやすいサボテンです。
花座と呼ばれる赤い帽子のような器官が可愛らしい。
一属一種のサボテンで、和名では「晃山(コウザン)」と呼ばれています。一般的な丸いサボテンと違い、四方に伸びた腕から伸びる無数のトゲが特徴。耐寒性もありとても丈夫で育てやすいサボテンです。
全体的に青緑色で腕先の枯れたような刺が魅力。生長していくと太い幹が地面から現れ古木のような姿に。
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