白い毛で覆われた姿に黄色のカギ刺が特徴の小型サボテン。群生するとよりモフモフで魅力的です。ほぼ見た目が同じ麗晃殿(れいこうでん)や月光殿(げっこうでん)などもあります。
かつてはクラインジア属(Krainzia)に分類されていて、現在はマミラリアに分類されています。寒さにも暑さにも強く丈夫で育てやすいです。小型のサボテンなので場所も取らないのもおすすめです。
薫晃殿は全身を綿毛のような毛で覆われています。イボの先のフック状のカギ刺が特徴で、手や衣類などに引っかかり鉢から抜けてしまうこともよくあるので注意が必要です。子株もよく出てくるので春先には鮮やかで大きな花を咲かせて楽しませてくれます。
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薫晃殿の増やし方は子株を分けるか、実生して増やす方法があります。子株も良くできるので切り分けて増やすこともしやすいですが、やはり様々な表情の薫晃殿を生み出すことのできる実生がおすすめです。
ただし、薫晃殿の種子の採取は結構手間なので下記にやり方を記載してあるので参考にしてみてください。
実生のやり方は簡単で、4月から6月頃に綺麗な花を咲かせます。自家受粉はしないようなので違う株同士を用意して、開花のタイミングに合わせて交互に花粉を付け合います。特に気をつけることもないのでピンセットなどで花粉をとってチョンチョンするだけです。9月頃に果実が熟して播種することができます。
サボテンはやっぱり花を楽しむのが醍醐味!あと、香りもですね。ちなみに薫晃殿の花は無臭です。4月から6月頃に綺麗な色の大輪を咲かせてくれます。白い産毛に鮮やかなマゼンタ色の花が映えてとても綺麗です。かつてはクラインジアに分類され、現在はマミラリアに分類されているようですが、明らかにマミラリアの花と大きさが違います。
交配は簡単で、中央の柱頭部分にそれを囲む花粉をそれぞれ別の個体同士で付け合います。マミラリアの中には自家受粉するものもありますが、薫晃殿は自家受粉はしません。花粉も取りやすく柱頭部分も露出していて交配しやすいです。
種子はイボとイボの間に出来てきます。この綿毛の中に埋もれるように出来てくるので種子を取るのは結構手間です。また、綿毛の中にはフック状のカギ刺があり、これがものすごく引っかかり、さらに採取を阻みます。
8月夏の終わりくらいになるとイボと似ている形状のものが膨らみ始めてきます。今は緑色ですが徐々に赤く熟れてきて黄色くなって萎んでいきます。他のサボテンのように種子が外に弾け飛んだり押し出される感じではないので、ピンセットを使い採取します。
9月に入ると赤から黄色に熟してきます。種子の採取のタイミングは赤でも問題はなさそうですが、しっかりと熟れた方が発芽率も良さそうなので、黄色くなり中から種子が破れて見えてくるまで様子を見ます。
熟れた種子はそのまま掴もうとすると表皮が破けやすく果肉で毛が汚れてしまうことがあります。一度破いてしまうと出てきてしまった種子と果肉を取るのがとても大変になるので、最初に破かないように注意しましょう。
破けやすい表皮を果肉の根本を摘んで切るようにぐるっと1周させるように切り分けていきます。表皮は破けやすいので途中もつまんだりはしないように注意しましょう。
根本から切り分けると綺麗に取ることができます。毛が邪魔で取りづらい時は手などにで押し広げて作業をしやすいようにしておきます。果実の汁などで毛が汚れると、そこに黒カビが生えてなかなか取れなくなるので大変です。
果実を切り取った後です。痛々しく切り分けるときに結構ガッツリとイボの間を傷つけてしまいますが、しばらくするとちゃんと傷も閉じて全く目立たなくなるので心配はいりません。
果肉と種子を綺麗に分けます。茶漉しなどで洗い流しながら果肉から種子だけ取り出します。種子を綺麗に洗っておかないと播種後に、果肉などの残りに雑菌が繁殖しやすいのでよく洗っておきましょう。
洗った種子をキッチンペーパーなどの上に置いて、半日陰の風通しの良いところで乾燥させます。何日も乾燥させたりする必要はなく、湿気が取れたら大丈夫です。
サボテンの種子の中では比較的大きめで1mmほどあるので扱いやすいです。種子の発芽では温度と湿度が大切です。マミラリアなので20度以上は温度は必要で、湿度は密閉できる環境を作って腰水で管理します。発芽率も悪く特別なことは何も必要ありません。
種子は塩素系殺菌剤を使用して殺菌しています。殺菌処理をしなくても発芽しますが、同時にカビも発生しやすいので殺菌処理は必ず行なっています。自分の場合は播種前に殺菌しますが、播種後に市販の植物用の殺菌剤を希釈してかけておいて良いかと思います。
発芽の条件には湿度が重要です。密閉せずに用土の上に蒔いて霧吹きなどで湿気を与えても発芽してくれるとは思いますが、乾燥しないように定期的に水やりをするのは大変なので、密閉した環境で底面給水で湿度を保たせれば特に面倒を見る必要がないからです。その際には必ず用土の殺菌処理を行わないと大変なことになるので熱湯などで事前に殺菌しておきます。
種子に覆土はしません。発芽の様子を確認できるようにしたいからです。播種から1週間後。ポツポツと発芽してきました。発芽がある程度揃うまでは水やりは腰水で行います。上からの水やりは種子が流れて偏ったり細い根がを傷つけてしまうからです。
1ヶ月を過ぎると白い刺が出てきて雰囲気が出てきます。ある程度の大きさになってきたら密閉環境をやめて外気に触れさせます。ただし、水やりは腰水のままです。もうしばらくしたら通常用土に植え替えて上から水やりをして管理します。
薫晃殿は子株もよく出てくるので、株分で増やすこともできます。親の株からぽこっと小さな子株がつくと形的には崩れてしまうので、それぞれ好みではありますが、何かの生き物のしっぽみたいでかわいらしいです。
実生と違って子株から増やす方が、遥かに早く大きな株を増やすことができます。親についたままの方が子株もよく生長するので、ある程度の大きさになるまで付けたままにしておきます。
子株を外す時期は発根しやすい気温の高い時期が良いです。春先から秋まで機会があればいつでも出来ます。子株を取るときは植え替え時に抜き苗状態で行う場合と、植った状態で切り分ける2通りがあると思いますが、それぞれ良し悪しがあります。
個人的には植った状態で切り分ける方が親の株の負担が少なくおすすめです。ただし、毛のあるサボテンの場合は、子株との境目が分かりずらい上に、植っていて作業も大変になり、切り口がいびつになり株に余計な傷をつけてしまう可能性があるのが難点です。
発根には気温が高い方が良いです。また切り口を下側にして適度に湿度がった方が発根は早いです。子株を切り分けたら切り口に殺菌剤を塗布して、風通しの良い日陰で乾かします。2、3日したら赤玉などを敷いた上に切り口が下になるように置いておきます。適度に水やりをして湿らせたりします。早ければ1週間くらいで発根を確認することができます。
こちらの画像は子株を外して発根させた薫晃殿です。子株はクローンになるので、親と同じ遺伝子情報ですので育て方にもよりますが、ほぼ同じ見た目になります。その点、実生は違う遺伝子情報になるので、親の特徴や異なった特徴が出たり楽しみ方も様々です。
発根始めはあまり根が回っていないので、水やりは控えめにして徐々に用土の乾きを見ながら水やりの回数を調整します。根からぐんぐん水を吸い上げるようになると大きく生長してきます。
薫晃殿の魅力は毛に覆われた可愛らしい姿ではないでしょうか。パッと見て刺がないように見えますが、毛の中にちゃんと刺があります。一般的なサボテンと違って刺の先がフック状のカギ刺になっているので、そこまでは直接触っても痛くはありませんが、手や衣類に引っかかって抜いてしまうことがあります。
それと、この覆われた毛は特に生長点付近の生え始めの毛が綺麗で、密集している感じと真新しい綺麗な毛並みがとても綺麗です。
薫晃殿と麗晃殿の違いは中刺と呼ばれるカギ刺の色の違いです。薫晃殿は金色で麗晃殿は赤色をしています。花や性質の違いは大きく違わないようです。
水やりに関しては生長期にはたっぷりと水をあげます。水はかなり好きで用土の乾き具合を見ながら、完全に乾いてから鉢底から出るくらいたっぷりと与えます。水やりはあまり頭からかけない方が毛が汚れなくて良いそうですが、関係なしに水やりをしています。それが原因で調子を崩したり、毛が汚れてくるような感じは特にないと思います。
ただし、薬剤に関してはやはり汚れが目立つ気がします。こればかりは頭からかけないと意味がないので悩ましいところです。
自生地は暑くても乾燥した気候になります。日本のように湿度のある環境ではありません。ある程度気温は高い方が好みますが、38度以上は生長が鈍くなり休眠します。この時期は水を吸いにくくなるので乾き具合を見ながら調節します。夏場の水やりは昼間を避けて気温が下がり始める夕方ごろにやるようにしましょう。
ある程度の耐寒性はあり5度以上を保てば越冬できます。ただし、日中はしっかりと気温が高くなり日光にあってて耐寒性を高める必要があります。水やりも断水気味に日中のよく晴れた日に用土に対して3分の1程度に与えるようにします。頻度も2週間に1度くらいで大丈夫です。
ウォータースペースの確保が出来なくなってきたら一回り大きめの鉢に植え替えます。また子株もよく出るので、はみ出して隣のサボテンと接触したしまったり、子株を外すついで植え替えを行います。
植え替えは株の状態をよく確かめるのにとても大切な作業です。根がきちんと張っているかで、置き場所や水やりの頻度などが適切だったかがわかります。
花が咲いている時や種子がついている時には植え替えません。花を咲かせたり種子をつけることはサボテンにとっても体力を大きく消耗するからです。
マミラリアのような毛のあるサボテンは、植え替え時に倒してしまったりすると毛の中に粉塵などが入ってしまうことがあります。ピンセットなどで取り除くようにしましょう。
可能であれば年に1度植え替えた方が生長も花付きも良いです。植え替えなくても枯れたりはしませんが、根詰まりや養分不足で花が咲かなかったり、種子も発芽しないなど調子を崩すことも出てきます。春先の少し暖かくなってきた頃に植え替えを行うようにします。
病気についての詳細を公開予定です。
実際に被害が出たときにこちらに記載します。
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