エピテランサ かぐや姫の育て方

緻密な白い刺で覆われた可憐な姿は、かぐや姫の和名に相応しい小型の美しいサボテン。生長はとても遅く群生させるには時間がかかる。生長点付近にできる綿毛もサボテンの魅力を引き立てています。

品種名
エピテランサ かぐや姫(ウングイスピナ)
学名
Epithelantha micromeris var. ungnispina
科名
サボテン科
属名
エピテランサ
原産地
メキシコ
生育タイプ
夏生育型
育てやすさ
★★★★★

かぐや姫が好き

エピテランサは細根で育てる環境に合っていないと根がしっかりと張らず生長が滞ってしまうこともあるので、少し気難しい種属でもありますが、基本的には耐寒性も耐暑性もあり丈夫で育てやすいです。

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エピテランサ かぐや姫の春の育て方
難易度:★★★★★
水やり:★★★★
生育環境:温室(10℃〜20℃)
エピテランサ かぐや姫の夏の育て方
難易度:★★★★★
水やり:★★★★★
生育環境:温室(24℃〜35℃)
エピテランサ かぐや姫の秋の育て方
難易度:★★★★
水やり:★★★★★
生育環境:温室(15℃〜20℃)
エピテランサ かぐや姫の冬の育て方
難易度:★★★★★
水やり:★★★★
生育環境:温室(5℃〜15℃)

かぐや姫の増やし方

エピテランサ かぐや姫の増やし方は実生か子株(カキコ)です。生長は遅い方なので子株を外して増やす方法が一般的です。エピテランサ属の月世界とは違い、自家受粉はしないのできちんと違う個体同士で交配する必要があります。

かぐや姫の実生での増やし方・方法

実生の場合は自家受粉はしないので交配用に2株用意する必要があります。5月を過ぎて暖かくなると小さな淡いピンク色の花を咲かせます。ピンセットや刷毛などを使い、花弁の中央にある柱頭にピンク色の花粉を採ってつけておきます。夏に赤い果肉に包まれた種子が生長点付近から顔を出してきます。

種鞘は果肉をしっかりと洗い流して黒い種子のみにしておきます。種子の消毒もしておくとカビにくく実生の成功率が上がるのでオススメです。播種から2週間以内で発芽してくるので発芽が揃ったら密閉環境をやめて徐々に屋外管理に慣らしていきます。

かぐや姫の花

淡く小さな花が咲きます。開花は春先から秋頃まで比較的一年を通して咲き乱れていますので、交配する機会は多いかと思います。この花柄は綺麗に取り除いておかないとカビが発生することがあるので、花が咲き終わったらこまめに花柄を掃除するようにする必要があります。

かぐや姫の交配の方法

自家受粉はしないので違う個体同士を用意します。交配のやり方は簡単で、開花したら違う個体の開花した花に刷毛などでちょんちょんと花粉を付けるだけです。ピンセットなどで花粉の塊を一つづつ採って付けても良いですが、割と雑に行っても受粉はするようです。

結実すると赤い果肉の種子ができる

2、3ヶ月くらい経つと生長点付近から赤い果肉に包まれた種子が現れます。株が成熟していないのも影響しているのか、採取した種子も数粒しか入っていませんので、開花している間はできる限り交配と採取を繰り返しておきます。

果肉を洗い流して種子を採る

赤い果肉の中に黒い種子がポツポツと見えます。この赤い果肉は実生には不要です。実生する時にカビの原因となりますので綺麗に洗い流しておきましょう。

かぐや姫の種子を蒔く

かぐや姫の種子は1mmほどで少し他のサボテンや多肉植物の種子と違って黒くほっそりと半月状の形をしています。種子の発芽は鮮度が肝心です。交配も比較的簡単なので自家採取がおすすめです。購入する場合は海外種子よりも趣味家の方から購入した方が発芽率は良いかと思います。

種子の殺菌処理について

実生するときに種子も殺菌処理をしておきます。中には極小の種子もあり濡らしてしまうと他とくっついてしまい上手く上手く蒔けないこともありますが、かぐや姫の種子は比較的大きいので塩素系殺菌剤で殺菌処理をしておきます。実生する時には高湿度になるのでカビの原因となるものは徹底的に殺菌しておきます。

用土の殺菌処理

実生に必要な湿度を確保するために密閉できるタッパーなどを使用します。密閉して高湿度になると雑菌や虫が発生する可能性があるので、用土も殺菌処理をしておきます。やり方は沸かしたお湯を用土にかけるだけです。熱を冷まして密閉容器に入れて、播種して腰水管理であとは発芽を待つだけです。

播種から2週間ほど発芽が揃う

播種して2週間ほどが経ちました。このくらいの大きさで発芽が揃ったら密閉環境をやめます。ただし、腰水での管理は続ける必要があります。実生苗が小さい時期は、腰水なしの状態に比べて水をよく吸って早く大きく生長するからです。

実生3ヶ月程

他のサボテンと比べると生長は遅い方だと思います。サボテンらしく白い小さな刺が生え始めました。ここまできてようやく発芽し始める種子もあるので、2週間くらい経っても発芽しないものは、少し環境を変えて放置しておくと発芽することもあるようです。

実生4ヶ月程

白い刺が生えてきてからは少し生長速度が速くなってきた気がします。最初はトゲトゲしてきた見た目も、全身に沿うように白い刺が覆ってくるようになりました。ちまちまとして可愛らしい姿です。

実生から3年程

エピテランサは環境に合わないとなかなか生長しない印象で、ある程度の大きさになるまでかなり生長に時間がかかってしまう感じがします。特に夏場の多湿には弱く元気に見えて、根が張っていない状態で根腐れの手前みたいな時もあります。

かぐや姫の胴切りによる増やし方

実生の他にも胴切りと呼ばれる生長点を潰して、子株(カキコ)を強制的に出させて増やす方法があります。かぐや姫は基本単頭で育っていきますが、成熟してくると子株を出して群生株のようになることもあります。ただし、自然と群生になるには時間がかかるようなので、ほとんどの場合は生長点を潰して傍から子株を出させて群生するやり方が一般的です。

増えた子株(カキコ)を株分する

実生で育てるよりも親株についてる状態の子株の方が生長は早いので、傍から子株が出てきたらある程度の大きさになるまでそのままにしておきます。切り取った時に発根までの時間に耐えられるような株の大きさになったら子株を取るようにします。

株分するときは殺菌処理をした刃物で親株との繋ぎ目で切り分けます。切り口は市販の殺菌剤を塗って半日陰の風通しの良い場所で乾かしておきます。切り口が乾いたら子株の切り口を下側にして用土の上に置いて発根までしばらく放置しておきます。早いものだと2週間以内に発根するので、通常の用土に植え付けて管理します。

かぐや姫を接木する

接木する場合は台木呼ばれる、丈夫な性質の台座となるサボテン(この場合は竜神木)を使い、穂木と呼ばれる接ぐ側のサボテンの生長を促す技法で、サボテン自らの根で生長する速度よりも早く生長することができる技法です。

育てるのが難しい品種の育成や開花まで10年程かかる品種も数年くらいで開花することもあり、交配するための親木として活用される技法でもあるそうです。

接木のかぐや姫の生長点を潰す

接木して半年くらい経って活着を確認してから生長点を潰します。カッターなどの刃物を消毒して生長点を削り取ります。切り口は殺菌剤などを塗っておかないとすぐにカビや雑菌が繁殖してしまうので注意が必要です。切り口が小さい方が株への負担も小さいと思うので、最小限に切り取る部分をおさえました。

かぐや姫を接木して4ヶ月後

接木して4ヶ月が経ちました。カットした部分はしっかりと癒着されていますが、かぐや姫の生長はそこまで大きく生長していない印象です。接木はしっかりと台木と穂木の維管束が繋がっていないと思ったように生長はしないのかもしれません。子株も出てくる気配もないのでしばらくは様子見です。

かぐや姫の魅力は?

魅力は小ぶりな姿に緻密な白い刺で覆われた姿ではないでしょうか。生長点付近に綿毛が生えているのも可愛らしいポイントです。刺の一部が少し長くヒゲのように体を覆っているのも見た目のアクセントになっていて魅力的です。サボテンの中には一本の刺の中でも少し色のついたものもありますが、かぐや姫の刺は白くて全体的に色白な見た目も美しいサボテンです。

エピテランサ かぐや姫の用土は?

エピテランサ かぐや姫は環境に適していないと根張りが弱く、多湿になると根腐れを起こすことがあります。管理環境に影響されますが比較的水はけの良い軽めの用土が良さそうです。市販のサボテン用の用土に軽石を少し混ぜたり、底石をしっかりと敷くだけでも効果はあります。

エピテランサの根は繊細

多湿を嫌うかぐや姫は風通しが良く、火のよく当たる場所で管理するようにします。肌の露出した多肉植物と違い体全体を刺で覆われたサボテンは、比較的直射日光にも強く葉焼けしにくい印象です。室内のみで管理せず、適度に屋外の日光や風に当てるようにして多湿な環境にならないように気をつけます。

水やりについて

鉢植えの場合は手に持った時の重さでしっかりと用土が渇いているのを確認します。生長期の春先から秋まではしっかりと乾いてからたっぷりと水をやります。冬の水やりに関しては10度を下回ってくると生長が鈍くなり、あまり水を吸わなくなるので用土の乾き具合をよく確かめて、水やりの量や回数を減らしていきます。厳冬期は断水しても問題はありませんが、よく晴れた日中に少量与えるようして根を完全に枯れさせない方が春の立ち上がりが良いです。

見た目は根が張っているようで根腐れかも

根腐れとは生長の過程で根から水分を吸う量と、植っている用土内の水分が加湿過多となってしまい、多湿により用土内の環境が悪く病害虫の発生やそれに伴い根が痛んでしまい、最終的にサボテン本体が枯れてしまう現象です。

対策は日々のサボテンの様子を見ながら、きちんと水を吸えているかを確認し、観葉植物のように毎日水やりをする必要もないので、あまり構わないであげることも枯らさないために大切なことです。

植え替えについて

生長速度が遅く小型のサボテンなのであまり植え替えをする必要もありませんが、生長を促すためにも2年に1度くらいは植え替えてあげた方が良いです。無理に植え替える必要がない分、鉢の上に撒いておく置き型の肥料を施したり、液体肥料などを生長期に適量与えるようにします。

病害虫に対しても虫の繁殖しやすい春先や夏場には殺虫剤を散布したり、根本に顆粒の殺虫剤を撒くなどして方が良いかと思います。

綺麗な丸みを出すには?

サボテンは日光を好むため、室内など光合成をうまくできない環境だと光を求めて縦に間延びしてしまう徒長という状態に良くなります。日のよく当たる時間に1日数時間でも構いませんので、屋外に出して日光や風に当てるように気をつけます。水や肥料の与え過ぎも形が荒れてしまう原因になるので注意が必要です。

早く大きく生長させたい気持ちと、綺麗な姿で楽しみたい気持ちでは、管理が全く逆になってしまうので難しいところであり、そのちょうど良い環境を自身のライフバランスの中で、サボテンとの付き合い方を見つけていくのが園芸の楽しみかと思います。

病気についての対策

病気についての詳細を公開予定です。

害虫についての対策

根ジラミがつくことがあります。長く植え替えをしていない場合や風通しが悪く湿気の多い環境は害虫の温床となる場合が多いです。しっかりと風通しの良い場所で管理して市販の顆粒の殺虫剤を用土に施すなどして対策をしましょう。

あまりにも害虫の被害が大きい場合は鉢から抜きあげて、根をしっかりと洗い流してしばらく干してから、新しい用土に植え替えるなど徹底する必要があります。

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