山梨県と長野県に跨る八ヶ岳で、多肉植物・サボテンを育てています。年間の日照時間が長いとされる北杜市での多肉植物の管理の方法と育てやすいおすすめの種類をご紹介します。
四季のある日本で全く異なる自生地の植物を育てられるか。特にここ北杜市は冬はマイナス10度にもなることがあります。多くの種類を育ててみて育てやすい品種や夏の蒸れや冬の寒さに弱い品種など様々です。
ある程度適切な管理方法をしていれば、ほとんどの多肉植物は育てることができると思います。ご自身の住まいの環境なども関係してきますので、自分なりの管理方法を見つけていくのも園芸の楽しみかと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。
多肉植物はその不思議な姿や数万種類もあるといわれる品種の豊富さが魅力で、"ハマる"と出てこれない大変奥深い植物です。最近では、100円均一や雑貨屋でも必ず目にするほど人気となっています。
多肉植物は、主に乾燥地域を原産地として、強い乾燥に適応できるように水を蓄える肉厚な葉や茎などをもったものが多く、それぞれの自生地の環境に適応した姿へと進化したと考えられています。
雨の少ない環境に適応した多肉植物は、水やりも少なく育てやすいことから人気が高いようです。
大きく分けると夏に生長期を迎え旺盛に葉を茂らせて育つ夏生育型。冬や春先に生長期を迎え夏は葉を落として生長が鈍くなる冬生育型があり、多くの多肉植物が該当する春秋育型と呼ばれる過ごしやすい季節に生長するタイプがあります。
どの生育タイプになるのかは枝葉の生長過程などをよく見ていれば分かります。
肉厚な葉に水分や養分を蓄えている多肉植物は乾燥に強く、水やりも一般的な観葉植物のように毎日水やりをする必要はありません。乾燥に強い一方、水やりのしすぎによる加湿、蒸れなどにはとても弱いです。基本的に室内の窓辺などで管理する場合は、1週間に一度くらいたっぷりとあげれば十分です。冬など鉢内の水分が抜けにくく、多肉植物も生長せずに根から水分を吸い上げにくい休眠期は、ほぼ断水で天候を見て少し湿らせる程度に水やりをするだけで構いません。
多肉植物の用土は、市販の多肉植物・サボテン用のものを使うだけで問題ありません。私が使用している用土に関しては、赤玉土、鹿沼土、軽石、ピートモス、腐葉土などをそれぞれ多肉植物や管理する環境によって配合を考えていきます。専用のハウス栽培になるので基本的には保水性のある配合です。
用土にはあらかじめマガンプなどの肥料や顆粒の殺虫剤を混ぜておきます。肥料は無くても問題ありませんが生長には多少なりとも影響が出てきますので適量を入れた方が良いかと思います。
植え替える時期は休眠期を避ければいつでも問題はありません。枝葉が旺盛に茂ってくる生長期に合わせて植え替えるのが良いでしょう。植え替える時に古い枯れた根は取り除いたり、根の張り具合を見て用土が植物に合っているかどうか、病害虫の有無などを確認してより良い環境作りのために、よく観察してスキルアップに役立てましょう。
多肉植物の多くが日光を好みますので、室内であれば明るい窓辺など日中ある程度光合成のできる環境で育てるのが良いかと思います。屋外の直射日光も品種によっては葉焼けや、水やり直後だと蒸れて枯れるなどしてしまうので注意が必要です。
厳冬期には窓辺に置いたままだと外気の影響を受けて調子が崩れることもあるので5度か10度以上を保てるようにしましょう。冬でも加温できる環境であれば越冬して年中楽しむこともできます。
乾燥に強い多肉植物は多湿にはとても弱いです。特に日本の夏のような高温多湿は多肉植物を枯らしてしまうことが多いので注意が必要です。夏は水やりは夕方日が落ちてきて気温の下がる時間帯にしたり、少し屋外に出して風に当てて用土が乾燥しやすいようにするなど、夏場の管理には注意を払いましょう。
種類の多い多肉植物の中で育てやすい品種をご紹介します。
個性的な形が特徴で、「軟葉類」と「硬葉類」と二種類に分かれ、軟葉類には葉の先に「窓」と呼ばれる淡く透明で柔らかい葉があり、その色や輝きにより高額で取引される個体もあります。
ぷっくりとした葉と透明な窓の美しい小型の多肉植物
小さな玉状の葉や肉厚なシルエットが可愛らしい、初心も育てやすい多肉植物です。生育も早く、落ちた葉から発根したり、挿し木でも簡単に増やすことができます。日光が不足する徒長気味になりやすく、数多くの品種がある分、寒さに強いものや弱いものなど様々なので、管理には気をつけましょう。
ぷっくりとした葉に産毛を生やした可愛らしい多肉植物。
丸みのある多肉質の葉と、木立ち性の姿が可愛らしい多肉植物。
耐寒・耐暑もあり、挿し木と葉挿しで簡単に増やすことができるので、初心者も安心の品種。
多肉初心者が始めて越ごしさせるのにぴったり。寒さに強く、秋に葉先から赤く紅葉し、春に綺麗な花を咲かせる。
托葉(たくよう)という葉の付け根から生える葉状片が発達したものが全体を覆っています。南アフリカ原産の多肉植物で冬型のものが多い。地下に塊根を形成するコーデックスは、密集して大きく生長するとなかなか迫力が出てきます。
茎は白い鱗片で覆われ「白蛇殿」とも呼ばれる冬型の多肉植物。生長は遅く、伸びた先端から小さな花を咲かせる。
南アフリカ原産で、葉は細く先端部分に窓を持つ小型の群生種です。徒長しやすいので日光にはよく当てるようにしましょう。ただし、真夏の日差しは避け、遮光気味に。生長し密集してくると蒸れにも一段と弱くなるので断水気味に管理、または株分けをします。耐寒性も強く育てやすい多肉植物です。
細長く先に窓と呼ばれる淡く透明で柔らかい葉がある。生長も早く初心者にも育てやすい多肉植物。
ユーフォルビア属は多肉植物の中でも数千種類と種類が多く、姿形も多種多様。魅力的な種属です。根が細く根張りが弱い種類が多いらしいので、水やりや植え替え時には注意したいところです。ユーフォルビアの特徴は傷つけた時に白い樹液が出ます。樹液は有毒性で肌に着くとかぶれたりするので注意してください。
耐寒性もあり仔株をたくさん吹くので生長が楽しみ。
ヨーロッパ、ロシアの山岳地に自生し、極寒にも耐えうる最強クラスの耐寒性を持つ種属。冬でも戸外で育成が可能で、非常に丈夫な多肉植物です。ただし、暑さや蒸れが苦手です。真夏の直射日光は避け、風通しの良いところで管理しましょう。
【春秋生育型】-30度にも耐えうる最強クラスの耐寒性を持つ。ブルーグレーの葉が紅葉する姿はとても美しい。
葉は肉厚で葉先は細く尖理、ロゼット状につらねるエケベリア。多肉植物の中でも育て方が簡単。冬の涼しい時期は葉の赤みが増す紅葉がとても美しい。様々な品種があり、耐寒・耐暑、常緑・紅葉など様々ですが、比較的育てやすいものが多い。また、葉挿しなどで簡単に増やすことができるもおすすめ。
斑入りの比率が多いものほど美しく人気が高い。
青白い透明感のある姿が美しく、秋に薄く紫色に色付く。
真暑・真冬は休眠し、10度~25度が生長期。渋い色みが好み。
暑さにも寒さにも強く初心者も育てやすい。ふわふわの産毛に覆われた肉厚な葉は、縁の赤みから徐々に紅葉していきます。
青みがかった緑の葉は全体に白い柔らかい微毛が生えています。高温多湿に弱く、明るい日陰で風通し良く管理。秋が深まると葉先が紅葉する。
葉の縁が薄くピンクで、全体的に紫色をした肉厚の葉が特徴。耐寒性もあり、比較的育てやすい。徒長しやすく幹立ちするので、遮光気味に日光によく当て風通しの良い環境で管理。
月兎耳(つきとじ)などが代表とされる南アフリカが原産の非常に丈夫な品種です。葉の表面に毛が生えているものやツルツルの葉であったり、草丈も5cm程度から1M以上の低木になるものまで、様々な種類があります。夏生育型に分類されますが、個人的には耐寒性もあり、初心者の方にもおすすめの多肉植物です。
テディベアのような赤茶色の生毛で覆われた姿がとても可愛らしい。
ラテン語で「Crassula」は「厚い」という意味から、幾重にも重なり合うように展開する多肉質の葉に由来するといわれています。種類も非常に多く、その姿も群生から垂直に生長するもの。数センチの小型から数メートルまで大型種まで幅広いのも特徴です。
真っ赤に燃え上がる炎のような美しい紅葉が魅力
生毛の生えた多肉質の葉が特徴の南アフリカ原産の多肉植物です。密集して枝分かれして木質化してきます。直射日光は葉焼けしやすく、日照不足だと徒長もしやすいですが、挿し木などで簡単に増やせるので初心者にもおすすめの多肉植物です。
子熊の手のようなモフモフな生毛の多肉質な葉が可愛らしい。
中米・メキシコが原産。また葉挿しなどで増やすのも簡単で寄せ植えにもよく使われる品種。寒さにも比較的強いので八ヶ岳の冬越しも問題ありません。ただし、蒸れや強い日差しには弱いので気をつけましょう。丈夫で初心者にもおすすめです。
コロッとした丸みのある葉ははうっすら白く粉を吹いたように。薄紫のなんともいえない色味が素敵。
グラプトペタルムとエケベリアとの属間交配種。ロゼット状の肉厚の葉は、秋には綺麗に紅葉します。夏の蒸れに弱いですが、比較的寒さにも強く、挿し木や葉挿しでも簡単に増やせるので初心者にもおすすめの種属です。
【春秋生育型】ロゼット型の青みがかった葉は、葉先が少し赤くなっているのが特徴。秋に綺麗に紅葉します。
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