ユーフォルビア オベサの育て方

丸みのある姿が可愛らしく人気の多肉植物。形や色味なども様々でコレクション性も高いのが特徴です。育て方も難しくなく交配も簡単で実生も楽しめるのでおすすめです。

品種名
ユーフォルビア オベサ
学名
Euphorbia obesa
科名
トウダイグサ科
属名
ユーフォルビア
原産地
南アフリカ
生育タイプ
夏生育型
育てやすさ
★★★★★

ユーフォルビア オベサが好き

初めてみると植物とは思えない独特な存在感のある多肉植物。丸く円柱状になり長く育てていく中で肌が木質化してより味わい深い風貌になってきます。実生から育てることで様々な顔をもつオベサが作れるので園芸種として非常に魅力のある多肉植物です。

Check!画像をタップすると詳細が表示されます。

ユーフォルビア オベサの春の育て方
難易度:★★★★★
水やり:★★★★★
生育環境:温室(12℃〜27℃)
ユーフォルビア オベサの夏の育て方
難易度:★★★★
水やり:★★★★★
生育環境:温室(24℃〜35℃)
ユーフォルビア オベサの秋の育て方
難易度:★★★★★
水やり:★★★★
生育環境:温室(5℃〜28℃)
ユーフォルビア オベサの冬の育て方
難易度:★★★★★
水やり:★★★★
生育環境:温室(5℃〜15℃)

オベサの増やし方

オベサの増やし方は実生かカキコ(子株取り)です。ほとんどのオベサが単頭タイプですが、中には群生するタイプのオベサもあります。群生したものから子株を切り分けて増やすことも可能ですが、比較的花付きも良く、結実も実生による栽培も簡単なので種子から育てるのがおすすめです。

オベサの実生の方法・やり方

オベサの実生のやり方はとても簡単ですが、オベサは雌雄異株のため、交配用のオス株メス株を用意する必要があります。花も一年中よく咲いてくれるので交配する機会も多く比較的実生のしやすい品種かと思います。

また、オス株とメス株ではメス株の方が出現率が低くあまり出回っていません。花が咲くまで雌雄どちらかわからないのも厄介です。実生苗に関しても、ほとんどが2年を過ぎると花を咲かせるので判別ができます。

オベサの雄花(オス株)

オス株の花の見分け方は簡単で、やく(花粉)の有無です。開花すると黄色の花粉をつけ始めるので、見た目でもすぐにわかります。花粉は触るとパラパラとこぼれ落ちます。梅雨時期や湿度の高い環境下だとよくカビます。それが原因で株が腐ったりなどはありませんが、見た目によくないので花が咲き終わったら取り去った方が良いかと思います。

オベサの雌花(メス株)

メス株の花の見分け方は簡単で、めしべの一番先端部の柱頭と呼ばれる花粉が付着するための器官の有無です。見た目も特徴的でそこまで小さくもないので見た目もわかりやすいです。この三つに分かれている柱頭部分に雄しべの花粉を付ければ受粉作業は終わりです。雄花同様に花数も多いので種子を取るのも簡単です。

オベサの交配・受粉後

受粉作業を行なって3日くらいですぐに子房が膨らみ出します。比較的、ユーフォルビアの中でも種子がちゃんとついたかどうか分かるのが早い方だと思います。その後10日から14日ほどでパンパンに膨れてきます。

オベサの受粉後20日後

結実してパンパンになってきました。種子が完全に熟すまで採取はしませんので、自然と弾けるまで放置します。熟したかどうかの判断は、少し茶色に色づいてきた見た目でも判断ができるかと思います。基本的には1房に3つの種子が入っています。

オベサの種子を採る

オベサの種子の採取方法は人ぞれぞれいろんなやり方があるかと思います。気をつけないといけないのが、種子は1M以上くらい飛び散ります。サボテンなどの種子は熟しても割れて種子が果肉からこぼれるくらいなので、株の根本などを見れば落ちていたりしますが、ユーフォルビアは遠くに弾け飛ばしてしまうので、飛び散らないように工夫しないといけません。

油断すると弾け飛ぶ!

オベサの種子は水で濡れると予想よりも早めに弾け飛びます。

種子の色がくすんでくるまで放置していても種子は弾けとばない印象ですが、頭から水をかけて水やりをしていると、気づいたら弾け飛んでいます。雨季の短い自生地の生存方法か、雨が降った時に種子を飛ばしているのでしょうか。

自分のスタイルに合った採取方法で

オベサの種子の採取方法は皆様色々と工夫されているかと思います。飛散防止でネットを被せたり、採取直前に接着剤などを使用して種子を固める方法など、ご自身がやりやすく納得いくやり方で良いかと思います。

オベサの種子の回収方法の例

種子の回収方法で一番手間がかからないのがネットで全体を覆い被せる方法で、これはとても効果的です。ただし、全ての種子が一度に飛散するわけではないので、いちいち種子を回収するたびに脱がせたり、全て弾け飛ぶまで待つ必要があります。自分の場合は弾けた種子から採取したいので全体にネットを被せるやり方はしません。

乗せるだけで簡単な飛散防止キット

上から飛散しないように蓋をすれば良いだけなので、針金で円を作りその両サイドにネットの端切れを挟み込んで網を作ります。一重のネットだと網目の隙間から出てしまうこともあるので二重に折りたたんで使用します。

弾け飛ばないように抑えれば良い

飛散防止の網をオベサの種鞘にポンと置くだけです。網目で透けているので弾けたかどうかも外さずに目視でき、外した時に転がって鉢の用土の上に溢れますが、種子も比較的大きいので、赤玉などの種子と判別つきやすい化粧砂を敷いていれば回収は容易です。

交配を控えて株を休ませてあげることも大切

比較的頻繁に花を咲かせてくれますが、花を咲かせて種子をつけるのにかなり体力を消耗します。ついつい花が合うと交配したいと思ってしまいますが、1回種子を採ったら次の開花の時は休ませてあげましょう。

オベサの種子を蒔く

オベサの種子は比較的大きめで1.5mmほどあります。採取したらすぐに撒いてしまって問題ありません。4月以降が種蒔きには良さそうです。加温できる環境、または室内で管理ができれば9月頃の秋蒔きも良いかと思います。

播種から1週間後のオベサの実生

用土を熱湯殺菌して、種子も塩素系殺菌剤で消毒しておきます。密閉容器に入れて腰水管理していれば、新鮮な種子は1週間ほどで発芽してきます。種子の殻は自然と外れますが、カビの原因にもなるのでピンセットなどで取り除いておきます。

双葉が生え揃ってきたら密閉環境をやめます。このタイミングを間違えるとオベサの実生苗は長く伸び過ぎてしまいますので注意が必要です。

播種から3週間後のオベサの実生

オベサらしい顔がのぞいてきました。よく見ると下の方に斑入りのようなものがあります。また個体差なのか1つ長く伸び過ぎてしまったものもあります。伸び過ぎたものも生長過程で横に太って、他の株と変わらない見た目になるので心配はいりません。

播種か1ヶ月半後のオベサの実生

双葉も小さくなりよりオベサらしい姿になってきました。よく見ると生長点付近が黄緑色に明るい色をしている個体があります。この斑入りのようなものが、ウイルス的なものなのかちゃんと斑入りなのかもう少し育てなければ判断できません。

播種か2ヶ月後のオベサの実生

このくらいの大きさに生長したら通常の培養土に植え替えをします。実生用の用土は熱湯消毒で大切な土壌菌なども死滅していたり、腰水で無酸素状態で腐敗も進んでいる場合もあり、今後の生育環境には良くありません。

斑入りのようなものはいい感じに斑の部分も残っていて期待大です。

播種から1年後のオベサの実生

実生から1年が過ぎると姿はしっかりとオベサになります。この時くらいからそれぞれ顔がはっきりと違いが見えてきます。生長速度も早いものと遅いものが明確に分かれてきます。

植え替えの時は、同じ生長速度のもの同士で寄せ植えしてあげた方が鉢増しするタイミングも揃うのでおすすめです。

播種から2年後のオベサの実生

実生2年が経つと2cmから3cmほどの大きさになります。オベサの特徴の模様や陵の雰囲気など、個体差がよりよく見えてきます。

実生の醍醐味は様々な表情の個体が生まれる可能性がある点です。ちょっと変わってるなという違いを探すのも楽しみの一つでもあります。

実生だから出る様々なタイプのオベサ

実生から生まれた特徴のあるオベサをご紹介します。画像はオベサの基本的な陵の数、8陵で均一なバランスがとれている実生苗です。肌に入る縞模様についても、それぞれ強く柄が出るものもあれば、柄も薄いタイプもあり様々です。

モンストオベサ・7陵螺旋オベサ

オベサの実生の中で特徴のよくでた個体をご紹介します。画像左は陵の入り方が均等ではなく、くしゃっと不規則なバランスで生長しているモンストタイプのオベサです。

画像右は7陵で陵が螺旋状に渦を撒いているタイプです。モンストのタイプもよく数えるとちゃんと8陵あるので、7陵はあまりないタイプです。それぞれ生長速度はノーマルタイプオベサと変わりません。

実生2年を過ぎると開花するので雌雄が分かる

2年を過ぎると生長の良い個体は花を咲かせてきます。この株は花粉がついているのでオス株です。メス株はオス株に対して出現率が低いといわれています。大体5本に1本の確率くらいです。

扁平タイプや木質化するオベサ

実生して4、5年が経つといろんな表情のタイプのオベサを楽しむことができます。育てていく中で木質化して味わいも増してきますし、雌雄を揃えて実生を楽しむこともできます。交配も簡単で花もよく咲くので、皆さんもぜひオベサの実生に挑戦してみてください。

ユーフォルビア オベサの用土は?

一般的な多肉植物用の用土で問題ありませんが、割と蒸れ、多湿に弱い印象なので多肉植物よりも軽石なども含めたサボテン用の軽めの用土が良いかと思います。

水やりについて

気温の高い環境は好みますが、日本の真夏のような高温で多湿な環境は生長が鈍くなります。夏場の水やりは気温の下がってくる夕方頃に用土がしっかりと乾いたのを確認してからたっぷりと水やりをします。

午前中や昼間に水やりをすると環境にもよりますが、鉢内が蒸し上がって根腐れを起こすことがあるので注意が必要です。

水のやり過ぎは徒長の原因に

生長期に水やりの頻度を上げて、用土内が乾かないうちに水をあげてしまうと、腐らなくても余分に水分を含んで縦に伸びてしまう(徒長)ことがあります。しっかりと高さを抑えて丸みのある姿を保つには、生長は遅くなりますが、用土が乾き切ってから水やりをするなど、乾燥気味に育ててあげた方が良いかと思います。

冬の水やりには特に気を付ける

15度を下回ると生長が鈍くなり休眠に入ります。気温の低下と水やり後の用土の渇きを見ながら、徐々に水やりの回数を減らしていき休眠に入らせます。冬場も室内で20度以上の環境を保てるのであれば、休眠させずに通用通りの管理で問題はありません。

休眠期中は水を一切やらずに断水はしません。晴れた気温の高めの日に少し湿らす程度に水やりをします。冬場はしっかりと日光をあてて耐寒性を高めてあげましょう。

オベサとシンメトリカの違いについて

ユーフォルビア オベサとよく似ているシンメトリカ(Euphorbia obesa ssp. symmetrica)が存在します。その違いについてよく聞かれるので、その特徴についてまとめてみました。

シンメトリカはオベサの亜種であり、種として階級を分けるほどではないけど、ひとくくりにするには特徴があり過ぎるといったくくりのようです。

手元にシンメトリカと断定できるような個体がないので個人的な考察にしかなりませんがご参考までに。

シンメトリカよりも円柱状になりやすい

オベサは生長するごとに円柱状になりやすい傾向があります。確かにシンメトリカは丸く高さの出ないタイプが多い気がします。特に長く育てているとこの違いは感じます。ただし、気をつけないといけないのが、画像のものはどちらもオベサかと思われます。

右の個体も左の個体と隣同士で3年ほど育てていますが、扁平タイプのオベサでシンメトリカではないと思います。

陵が立ってくるかどうかが重要

オベサとシンメトリカの違いで特に決定的な違いは、陵と呼ばれる少し盛り上がっている部分の特徴がよく出ているかどうかだと思います。シンメトリカの場合はこの陵が盛り上がりにくく、自然と丸みのある姿をしている印象です。

画像は丸みのある扁平なタイプですが、陵が盛り上がってきています。円柱状に育たなくてもこの陵の特徴を見ればシンメトリカとオベサの違いがわかるかもしれません。

丸みはあるがシンメトリカではない

こちらは輸入のオベサです。発根までかなり時間がかかりましたが、現在はしっかりと育ってきています。全体的に丸みがあって陵も高くなっていません。言葉では説明しづらいんですが、これはシンメトリカではなくオベサだと思います。シンメトリカはまん丸にはならず、もう少し扁平っぽくなるのと、株自体もぎゅっと窄まった印象を受ける姿だと思います。

結局のところ何か定義があるわけでもないようですので、個々の判断になってくるかと思います。今後、シンメトリカと思った株を迎えて、よりその違いのようなものを探っていこうかと思います。

病気についての対策

ユーフォルビア オベサは比較的病気には強い印象です。

肌が黒く腐る

実生苗で肌が黒くなり腐ってきているオベサがありました。これは恐らく葉焼けが原因かと思います。70%ほど遮光下に置いていましたが、今年の夏は暑過ぎました。全体的に肌が赤みを帯びてきているなとは思っていましたが、夏を過ぎて9月の中旬になると一気にこの症状が出てきました。根っこはしっかりと張っていて元気でしたが、ここまで腐ってしまうと回復は難しいので、他の病気の疑いもあるので捨てるようにしましょう。

害虫についての対策

ユーフォルビア オベサは比較的虫が付きにくい印象です。実際に被害が出たときにこちらに記載します。

こちらもどうぞ

TOP 多肉植物・サボテンの育て方・楽しみ方 多肉植物の育て方 ユーフォルビア オベサの育て方
𝗫

当サイトのCookieについて

このウェブサイトでは、利便性向上を目的としてCookieを使用しています。一部のCookieは、ウェブサイトを正しく機能させるために欠かせない「必須Cookie」です。Cookieの設定はいつでも変更できます。詳細についてはCookieポリシーをご覧ください。