塊根系ユーフォルビアの代表格「飛竜」は、独特な模様のある刺の生えた多肉質な葉と、肥大化する塊根とのバランスが人気のコーデックスです。
塊根系ユーフォルビアは全般的に生長が遅く、実生からある程度見栄えのする大きさに育てるには、そこそこな時間を必要としますが、飛竜はある程度育ってからは生長も早く、性質も丈夫でおすすめの多肉植物です。
3年間の塊根の生長。太らせる方法
約3年ほど飛竜の塊根部分を太らせる検証をしてみました。結果としては大きく太くなりました。詳細に関しては色々と記載していますので、ぜひご参考にしてみてください。
自生地では塊根部分は地中に埋まっており、地表から刺のある葉を這うようにしています。市販されているものは、園芸の観点から塊根部を地表に露出させて仕立てています。その見た目の派手さや迫力のある姿は、多肉植物好きにはたまらない魅力であふれています。
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増やし方は葉挿しや実生になります。塊根部が肥大化するコーデックスは、葉挿しだと根がよじれてうまく肥大化しない傾向にあるので、飛竜の魅力である立派な塊根のある植物に育てるなら、時間はかかりますが実生での増やし方がおすすめです。
ユーフォルビア 飛竜の実生はとても簡単です。飛竜は雌雄異熟という、おしべ・めしべの成熟期がずれることにより,自家受粉を避け、遺伝的多様性を維持するための大切な機能があります。
春に不独特の匂いを放つ花を沢山咲かせるので、違う個体を揃えて交互に交配しておけば夏頃に種子ができて、採取後に採取後にすぐに蒔くことができますのでぜひ挑戦してみてください。
ユーフォルビア 飛竜の花は雌雄異熟でわかりづらいですが、中央に花粉の付いた雄花が先に咲きます。雄花の両側に雌花が遅れて咲きます。雄花は黄色の花粉が付くので少し触ってみるとわかりやすいです。
雄花が枯れてくると両側に、種子となる少し膨らんだ子房をもつ雌花が咲いてきます。少し粘着性のある突起が特徴です。この雌花がかなりの匂いを放ちます。
ユーフォルビアの中には虫を媒介として受粉をさせるために、独特な匂いを放つ花を咲かせる種類があります。飛竜の花も濃いめの甘ったるいような癖のある香りがします。鼻を覆いたくなるほどの強烈さはありませんが、決していい匂いではありません。
飛竜は自家受粉も確率的には低いですが可能です。基本は別の個体を用意して交配します。交配のやり方は簡単で雄花の花粉をピンセットなどで取って、別の個体の雌しべに付けておくだけです。受粉後も1週間くらいで膨れてくるのでわかりやすいです。
種子が膨れてくると弾けて飛ばしてしまうので、ネットなどで飛散防止します。受粉後しばらく経って頭から水をかけてしまうと翌日には1M近くも弾け飛ぶので、種子も小さく回収が困難になるからです。刺つきのユーフォルビアはネットが絡まり被せにくいのですが、今のところこの方法が確実です。
飛竜の種子をネットから出すと枯れた柄に部分や割れた種子の殻などが混じっています。余計なものが混じっている状態で蒔くと雑菌などのリスクが高くなりうまく発芽しないこともあるので、中身の詰まった大きめの種子を1つづつ分けていきます。
選別した飛竜の種子です。ユーフォルビアの中では小さめで1mmくらいです。この1粒が立派な塊根植物になることが驚きですね。1株で大体200粒くらいは採取できます。
実生の条件に湿度と気温が関係してきます。結局は種子の鮮度が1番関係しますが、発芽させるには密閉した環境を用意する必要があります。密閉することで高湿度を確保しつつ、雑菌や害虫の繁殖も防げるからです。
用土は通常の培養土の方面に赤玉の細粒を敷いておいて熱湯消毒しておきます。冷めてから種子をまいて殺菌剤で腰水管理で密閉して、半日陰で発芽してくるまで放置します。
ユーフォルビアの中でもオベサの種子にはない特徴があり、濡れると粘着性のある膜ができます。これは乾燥した自生地で水をつかまえて発芽に生かす仕組みなのかもしれません。
実生する時は可能であれば種子も殺菌処理をしておいた方が良いですが、極小種子や粘膜ができるものは処理ができないのでそのまま蒔きます。
播種からしばらくすると殻を割って発芽してきます。この殻はその後カビたりするので拾って捨てておきます。双葉が出てきて全体的に出揃ってきたら密閉環境をやめます。ただし、腰水管理はそのまま続けます。小さな実生苗は上から水をかけると用土がえぐれて細い根の苗がダメになってしまうからです。
1ヶ月経つと本葉が出てきて、飛竜の特徴のトゲトゲの葉っぱの感じも出てきます。この本葉が出てきてからの成長がとても遅いです。いずれ塊根になるであろう部分はあまり地表には露出させないように育てましょう。
腰水を止めるタイミングは結構しっかりと本葉が生えてきて塊根の表皮がしっかりと張ってくるまでは続けた方が生長は早いです。腰水をやめてからはとても遅くなります。
葉にも特徴的な模様が出てきて塊根も小指の先くらいになってきました。このくらいの大きさにまで生長すれば、割と生長は早く1年で1回りくらいは塊根も太ります。ただし、生長が早い個体で2年でこの大きさで他はもう少し小さめなので、やはり生長はかなり遅く時間がかかる印象です。
塊根植物(コーデックス)の醍醐味である立派な塊根を太らせる方法は、塊根部分を大きめの鉢に埋めて育てることです。現地では塊根部分のほとんどが地中に埋まっています。園芸として鑑賞を楽しむため塊根部分を露出して植えていますが、本来の健全な姿ではありません。もちろん、鉢植えに植っているわけでもないので、自由に根の張れる環境で育ててあげることが大切になってきます。
どの塊根植物(コーデックス)にもいえることだとは思いますが、塊根部分はしっかりと埋めたほうが太ります。主根から細根が生えてきて養分を蓄えるので、しっかりと養分を蓄えられるように少し大きめの鉢に塊根部分も埋めるようにします。
ただ、ユーフォルビア 飛竜は割と塊根を地上に露出していても太りやすい印象ですので、ガッツリ太らせたい人以外は特に気にかけなくても十分かと思います。
根を自由に張らせることが塊根を大きく太らせる効果があると思います。同時に地中を暖かく快適な温度に保つことも生長を促せるので、地植えなどは地中からの地熱が伝導するために、昼夜問わず、また冬でも外気よりも遥かに暖かく植物の生長を促せるからです。
すべてが良いことづくしではありません。地植えのデメリットは用土の乾きが読みにくいので水やりを失敗すると根腐れする可能性もあります。また、地植えはコナジラミなどの害虫が付いた時に、鉢植えと違い用土をすべて取り替えることができなかったり、薬剤の浸透が行き渡りずらく駆逐がしずらいという点があります。
塊根ユーフォルビアは塊根部分から出る細根がよく張るので1年でよく根詰まりを起こします。植え替えを怠ったままにすると、新しい根を張ることができず水捌けも悪く生長障害を起こすこともあります。可能な限りは毎年植え替えるようにするだけで塊根部分は大きく太ってきます。
しばらく植え替えていないので植え替えをします。塊根系ユーフォルビアは下に主根が伸びていくので、底からよく根がはみ出したりしています。地上部分の塊根も一回りくらい太くなった気がします。
鉢底からも根が少し出ていて鉢も歪んでいます。生育上良くないので植え替えを行います。
そこまで根が回っている感じではないようですが、太い主根が鉢の底にぶつかって曲がっています。用土と細い根を優しくほぐしながら根を整理していきます。
ほぐし終わった根を確認すると塊根もそこそこ太くなっていました。この飛竜は捩れ気味の塊根でしたが、根を地表にあげて仕立てようと思うので、地表に出す太い塊根部分に生える邪魔な細い根を取り除きます。
本来であれば消毒した刃物で丁寧に傷口をケアしながら作業するのが良いですが、そんな神経質にやらなくてなんとかなるので手で細かな根は取り除きます。少し太めの根はハサミなどで切り口をきれいな状態で取り除いておきます。
だいぶすっきりとしました。鉢植えにしていると地中部分の塊根が下へ長く伸びるので、根の先っぽあたりを少し切っておいても良いです。ただし塊根は太すぎる根を傷つけてしまうと、すぐにふにゃふにゃして全体が腐ってしまうのでそれなりにリスクのある作業であることを忘れないようにしましょう。
少しだけ大きめの鉢に植え替えました。塊根の迫力も出てコーデックスとしての存在感もあります。植え替え直後は水をやらずに半日陰で2、3日置いておきます。その後、水やりをして用度の渇きを見ながら管理をしていきます。
ある程度植え替える回数が増えてくると塊根部分も大きくなって見た目も迫力が出てきます。地表に塊根を出すと太る速度は埋める時よりも緩やかになりますが、太ってはくるので今後の生長が楽しみです。
ユーフォルビア 飛竜のコーデックスとしての魅力は、その独特な模様と刺のある多肉質の葉、そして肥大化した塊根部分とのバランスではないでしょうか。ある程度時間が経つと塊根部分が太ってくるので、より育てる楽しみが増えてくる植物です。
水はけのよい多肉植物用の用土で問題ありません。植え替え時に少量の元肥を施してもよいでしょう。塊根部分まで埋める場合は直接肥料が触れないように、深めの鉢を選らび、下へ根が張った時に触れるように施しましょう。
水は好きな方で生長期の夏は用土が乾いたらたっぷりと水をやります。高温になる真夏の炎天下の水やりは避けて、気温が下がりだしてからやりましょう。夏生育型とはいえ、40度を超える環境が続くと休眠し、水を吸いにくくなるので用土の乾き具合や葉の展開を見ながら判断しましょう。
11月に入り昼夜の寒暖差が大きくなり、夜間の気温が10度を下回ると生長が鈍くなり。この時期に厳冬期に向けて徐々に水やりの回数を減らしていきます。加温できる環境や室内に取り込むなどして、休眠させない方法もありますが、私の場合は場所の問題もあるので、耐寒性の高いものは5度から10度くらいのところでほぼ断水で管理しています。下葉が枯れ込んでしまいますが、毎年春になると元気に葉を出してくれます。
ユーフォルビア 飛竜は比較的寒さにも強そうです。ただし、厳冬期に10度を下回る日が続くと下葉が枯んできます。葉が少ない分、春の立ち上がりが遅くなるので、室内管理か加温して冬超えをさせることをおすすめします。
病気についての詳細を公開予定です。
ユーフォルビア 飛竜の害虫について記載しています。
ユーフォルビア 飛竜は比較的に虫もつきにくく育てやすい印象です。ただし、このコナカイガラムシはどの多肉植物も寄生するので厄介です。対策としては害虫の快適な環境にさせずに、かつ植物自体の免疫力を高くすることです。
高温多湿は虫にとって繁殖のしやすい環境になります。風通しのよく適度に日光の当たる環境で管理しましょう。ただし、どうして害虫は発生してしまいます。発生する前に市販の薬剤を定期散布するなどの予防も大切になります。
コナカイガラムシは目に見えるまで大きくなると白いので比較的すぐにわかります。1、2ミリほどのものはピンセットなどで捕殺しましょう。また、目に見えないほどの大きさも地中に潜んている可能性は高いです。生長期であれば株を抜き出して、柔らかいブラシなどで葉の隙間などをしっかりと洗い、用土ごと植え替えるなどの対処も必要です。
厳冬期など植物が休眠している間も虫は発生していることもあります。その場合は市販の薬剤を使用します。スプレー型の薬剤はすでに調合されていて散布するだけになっていて便利です。効き目も悪くないように感じます。ただし、同じものを使い続けると害虫も耐性がついてしまいますので、いくつか薬品を変えるなどして耐性のつきにくい予防も必要です。
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