フォッケア 火星人(エデュリス)は、南アフリカ原産のコーデックスです。丈夫な品種なのでコーデックス入門として人気です。冬の無加温の温室は5度近くまで下がりますが耐寒性は強い方だと思います。和名で「火星人」と呼ばれていますが、幹肌にゴツゴツとした突起と丸みを帯びたボディから蔓状の枝が伸びる姿を宇宙人と重ねたのでしょうか。
1年間の塊根の生長。太らせる方法
約1年ほど火星人の塊根部分を太らせる検証をしてみました。結果としては一回り大きく太くなりました。詳細に関しては色々と記載していますので、ぜひご参考にしてみてください。
常緑性の植物なので20度以上を保てれば冬でも葉は落ちません。15度を下回ると生長は鈍くなり、休眠期に入るので、水やりなどのタイミングには気を付けましょう。生長期の夏は水をよく好みます。用土が乾いたら水をたっぷりとあげましょう。日光も特に遮光の必要もないので、日当たりのある風通しの良い場所で管理するとよく育ちます。
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増やし方は実生か挿し木になります。挿し木の場合はコーデックスの特徴である塊根(塊茎)部分はあまり大きくなりません。種子がよく出回っているので、実生から育てるのがおすすめです。
実生の育て方も比較的簡単で、発芽からの生長も早く1年あればそれなりの大きさになります。
フォッケア 火星人の実生はとても簡単です。種子も様々なWEBサイトで購入できて発芽率も良いものが手に入ります。後に記載しますが火星人の交配はとても難しく自家採取の種子は手に入れにくいので、通販で種子は購入しましょう。
火星人の実生を始める時期は「春蒔き」「秋蒔き」のどちらでも可能ですが、個人的には生長期に夏から秋を迎えられる春蒔きがおすすめです。
フォッケア 火星人の花は、元ガガイモ科であったのもうなずける独特な姿をしています。花の形も火星人らしさがあります。
控えめで小さめの花ですがとても沢山花を咲かせます。そして、清涼感のあるとても良い香りがするのも特徴です。
フォッケア 火星人の花は雌雄異体といわれているため、単体での自家受粉は出来ません。
雄しべを咲かせるオス株と雌しべを咲かせるメス株を揃える必要があります。また、ある程度成熟してこないと花を咲かせないので交配は難しいです。
元ガガイモ科でもあり花の形状もよく似ているので、受粉の仕組みも近いと思い調べてみました。どうやら胚珠と呼ばれる種子になる器官に花粉塊(花粉)を入れることで受精するとのこと。この受粉作業は虫が蜜を吸うときに合わせて花粉を運ばせるもので、人の手で行うには色々と難しそうです。
屋外に火星人を放置して、虫による自然交配を狙うのが良いのかもしれません。
火星人の花はよく咲くのですが、10日くらいで枯れてしまい、その後よくカビます。花柄系は分泌される蜜の関係もあるのかよくカビます。室内などで管理していれば多湿環境ではないのでカビることもほとんどないと思いますが、温室などの閉鎖された環境だといくら換気に気をつけていても大体カビてしまいます。
カビはそのままでも生育に大きな支障はきたさないようですが、見た目も良くない上に、放置していると様々な菌の温床となってしまうので、花柄はきちんと処理するようにしましょう。
フォッケア 火星人(エデュリス)の種子は、様々なWEBサイトで購入が可能です。交配が難しいので、発芽率も悪くない輸入種子の購入がおすすめです。
まず、実生用の培養土を用意します。市販の多肉植物用の用土の上に赤玉の細粒を敷いて、熱湯消毒を行います。この殺菌・殺虫処理は必ず行うようにしましょう。
殺菌・殺虫処理を行ったら密閉容器の中で腰水で管理します。発芽の条件に湿度が大きく関係してくるので密閉できる環境を用意します。また、密閉することで空気中の雑菌の侵入を抑えられ、湿度の高い用土は小蝿などの虫の繁殖条件にも当てはまってしまうので、これらを予防する効果も期待できます。
種子はあらかじめ塩素系殺菌剤を使用して除菌しておきます。種子の除菌工程も個人的には必須かと思います。鮮度の良い種子は腰水の管理で半日陰で20度以上をキープできるようにしておきます。寒過ぎたり、密閉しているので暑過ぎても煮えてダメになるので気をつけましょう。
5日ほどでだいぶ発芽が揃ってきました。発芽して双葉が生えそろうくらいまでは密閉した環境を維持します。実生の密閉の注意事項は発芽する条件で加湿環境にしていますが、加湿し過ぎると実生苗は徒長してしまいます。
実生していると明らかに生長の早いものと遅いものが出てきます。遅い方に合わせて密閉環境を長くしていると生長の良い実生が徒長してしまうので、私の場合は発芽してこない種子や遅いものは取り分けて別で管理するようにしています。
双葉も生えてきました。これくらいになったら密閉をやめても問題ありません。他の未発芽の種子を考慮して蓋を少しずらして加湿を下げても良いでしょう。
根がうまく用土に入らずに表土で伸びているものがある場合は、ピンセットなどで用土に穴を開けて差し込んであげるとその後の生長に良いです。
ほとんどの実生が発芽して双葉が生え揃いました。根本の部分が膨れてかわいらしい姿になってきています。ここまでくると完全に蓋などは外して外気に触れさせます。ただし、水やりは腰水のままです。
まだ、根がうまく張っていなかったり、上から水をかけてしまうと表土が削れて細根が露出したり、実生苗が倒れてしまい生長にストレスを与えてしまう可能性が高いためです。
本葉が生えて、ある程度の大きさになった頃に実生用土から通常の培養土に植え替えます。火星人の塊根部分は土に埋めた方が太りやすく生長も早いです。
火星人の塊根部分をしっかりと埋めて植え替えるので、2.3号のロングスリット鉢に植え替える方が良いです。元肥なども入れて日光がよくあたり、風通しの良い環境で管理します。
播種して5ヶ月くらいが経つとまだ緑色で若い感じがしますが立派な塊根(塊茎)が出来てきます。実生苗は寄せ植えしてあげると、お互いの生長ホルモンのようなものが根から分泌されて、植物同士が隣り合う場合は競うように大きくなるという話を聞いたことがあります。その説はまだ検証していませんが、実生スペースも限られているという現実問題も踏まえて、実生苗は寄せ植えしています。
先に述べたように生長速度を揃えて植え付けていたので、生長の遅い最後の実生たちも寄せ植えしていますが、一つだけ遅れを挽回するように生長していますが、それ以外は本葉が出てきません。枯れる感じもないのでこのまま育ててみたいと思います。
1年半が経つと大分塊根部分が膨らんでそれらしい姿になってきます。丸ごと埋めても植え替えても枯れたりはしないようですが、現地のように少し頭を出して、個別に植え替えていきます。
火星人の塊根を太らせるには「塊根部分を地中に植える」「主根の先を切る」が効果的かと思います。それぞれ良し悪しがあり、また結局のところ個体差でその差が出てきますので、あくまでも個人的な体感になります。
フォッケア 火星人の自生地では、塊根部分の大半が地中に埋まっています。園芸として楽しむために塊根部分を地表に出して楽しまれていますが、本来の姿を考えて塊根を埋めてあげた方がよく育ち塊根部分が太るような気がします。
根としての機能を持つ塊根部分をきちんと地中の中に入れることで、養分を吸収し太く大きく生長することは自然なことだと思います。塊根を太らせるために見た目は少し地味になってしまいますが、1年くらい埋めて太らせてから塊根部分を地表に出して楽しむのも良いかもしれません。
実生苗の塊根がどれだけ生長するのか、植え替え時に地中に埋めて生長の差を検証してみようと思います。深めの鉢を用意して通常通りの用土と元肥を入れて植え替えをします。
塊根全体が養分をしっかりと吸収できるように地中にしっかりと埋めます。元肥も根が伸びてきて触れるように鉢底近くに施してあります。
直射日光は避けて明るい少し遮光した環境で管理します。水やりは用土がしっかりと乾いてからたっぷりと鉢底から溢れるほどにあげます。冬場は水やりを控えますが完全断水はしません。
こちらが1年近くたった火星人の様子。根がしっかりと塊根全体から出てきています。塊根部分もしっかりと太っているようでガッチリとしています。
1年間の塊根の生長
9月から翌年の8月までの生長の変化を比較してみます。地中に埋めたところを境に一回りほど生長して太っているのがわかります。ただ、この1年で蔓の部分の生長が全くなくほとんど変わっていないのが問題点でした。根からの水分や養分の吸収も大切ですが、蔓性の植物は蔓を伸ばして葉を茂らせることで塊根が生長するので、この点では管理がうまくいかず、もっと塊根部分が太く大きく生長できたのではないかと思われます。
フォッケア 火星人を太らせる方法で間違いなく太るやり方が主根をカットする方法です。サボテンのアストロフィツム ランポー玉(鸞鳳玉)などでは行われる方法で、主根が長く伸びやすい種属は鉢植えなどで仕立てる時に妨げになるので、主根の先を少しカットして仕立てやすくする方法です。
火星人も塊根部分を地表に出して植えても、埋まっている塊根部分が長く伸びて、植え替え時に鉢底から根が出てきてしまうことが多々あります。
地中に埋まった塊根は横に太るよりも、縦に長く伸びやすいように思います。そこで、1年前に主根の先をカットした火星人を地植えで管理したものを掘り上げてみまいた。
これは想像以上に丸く塊根部分が太っています。地植えはよく生長するのですが、これまでも植えていて掘り上げた時に主根が長く伸びすぎてしまう問題点がありました。しかし、この主根カットは縦に伸びずに、明らかにどれも横に塊根が太っています。
こちらも主根をカットして丸く生長してきた火星人です。よく見ると主根カットしたところから細根が出てきて根を張っている感じです。ただし、この方法は腐りやすいです!
10本主根をカットして切り口を乾燥させるのですが、このタイミングで腐ります。10本中5本が腐りました。カットする位置を攻めすぎたのかもしれませんが、やはり主根は触らない方が無難ではありますが、効果は絶大だと思います。
確かに塊根部分は太りやすく、しかも綺麗に丸く太るので魅力的な方法ではありますが、リスクがとても高いので慎重に考えてから行ってください。
根が長くならない分、鉢上げで仕立てる時も大分綺麗にできました。また浅鉢や無理に深鉢に植えなくて済むので、植え替えで仕立てる鉢の選択肢が格段に増えるのも魅力です。
フォッケア 火星人(エデュリス)のコーデックスとしての魅力は、ゴツゴツとした幹肌と丸身を帯びた塊根部分。その先から伸びる枝が非常に人気です。耐寒性も耐暑性もあるので非常に育てやすいです。また、生長も非常に遅いというわけでもなく、早すぎるということもないので長く楽しむことができるのも魅力だと思います。
フォッケア 火星人(エデュリス)は生長期は水を好みます。生長期の6月〜10月までは用土が乾いたらたっぷり水をあげます。気温も10度前後になってくる11月から5月くらいまでは休眠期に入り、水の吸い上げが弱くなってきます。
画像は水切れの状態とたっぷりと水をやった後です。塊根部分がほっそりしていたのが翌日にはふっくらとしてきました。
コーデックスの塊根部分がへこんできた場合、根腐れによるものなのか、水不足によるものなのか、早めに判断する必要があります。どちらも対応が遅いとその後の生長に影響が出てきてしまいます。一番判断しやすいのが、塊根部分を触ってブヨブヨしているかどうかを確かめることです。水不足によるものだと、へこんではいるものの柔らかくはなっていません。また、落葉していない場合は葉の様子もよく見ましょう。黄色く枯れてきた場合は地中の根に何かしら原因がある可能性が高いです。パッと見てツルや葉がヘタってきて、塊根部分を触って硬ければ、単純な水不足の可能性が高いです。
フォッケア 火星人(エデュリス)は日光が大好きです。生長期の春から秋までは遮光はせずに風通しの良い日向でガンガン日光浴させましょう。長雨でなければ雨晒しでも特に体調を崩すこともなく強健な品種です。冬の休眠期で落葉した場合でも、風通しの良い日当たりの良いところで管理した方が耐寒性が高くなり、春からの生長にも良い影響があると思います。
厳冬期の八ヶ岳は外はマイナス10度。加温な環境でも5度近くになります。多くの植物が葉を落として休眠期に入りますが、火星人は少し下葉が落ちましたが青々しています。ただし、休眠期に入っているようで、用土の渇き具合は早くありません。冬の管理は他の夏型コーデックスと同様に基本断水にします。
断水からしばらくすると幹肌が萎れてついつい水をたっぷりとあげたくなりますが、生長の鈍くなっている休眠期は水を吸い上げる力が弱くなっているので、月に一度鉢に対して3分の1程度水やりをする程度に我慢しましょう。3月に入り、昼夜の寒暖差も緩くなってくると、水やり後の用土の渇きが早くなってきますので、徐々に水やりの回数を増やしていきましょう。
夏は茂った葉で塊根部分などを自ら遮光し葉焼けを防ぎ、蔓をしっかりと絡められるようにすることでより養分を塊根に蓄えることができます。日光が好きと言っても、水を切らして弱っているところに屋外の直射日光を当ててしまうと葉焼けなどで塊根部分が痛んでしまうことがありますので注意しましょう。
フォッケア 火星人(エデュリス)の病気については後ほど更新していきます。
カイガラムシやハダニがつくことがあります。害虫の発生サイクルは比較的短くとても早いので、定期的な殺虫剤の散布が欠かせません。春先など暖かくなってくる時期前に散布して害虫の発生を防ぎましょう。
ツルの部分をよく見ると白いカイガラムシがついていることがあります。市販の殺虫剤で駆除することもできますが、目視できる場合はピンセットなどで捕殺するようにします。用土に混ぜて植物に虫の害となる成分を含ませることで予防するタイプもあるので植え替え時などに用土に混ぜておくことも重要です。
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