パキポディウム デンシフローラムはポテっとした塊茎に太く短い刺が可愛らしい人気のコーデックス。パキポディウムの中では丈夫で育てやすいのでコーデックス入門として人気です。和名で「シバの女王の玉櫛(たまぐし)」とも呼ばれています。春になると花柄を伸ばして黄色の可愛らしい花を咲かせてくれます。
パキポディウムの中には恵比寿笑(ブレビカウレ)のような気難しい性質もある中で、デンシフローラムは丈夫で育てやすいのでオススメの塊根植物(コーデックス)です。生長も比較的早いので育てる楽しみも多く実生にもぜひ挑戦してもらいたいです。
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増やし方は実生になります。挿し木でも増やせそうな気はしますが、パキポディウムの特徴である塊根(塊茎)が太りにくいと思いますので、実生で増やした方が綺麗な形で育てることができるのでおすすめです。
交配の方法は少しだけコツが必要ですがそこまで難しくはありません。ぜひ種子を採取して種子から愛情を注いで育ててみてください。
パキポディウム デンシフローラムの実生の成功の鍵は、なんといっても種子の鮮度です。実生自体は発芽させすれば比較的簡単です。デンシフローラムの種子は様々なWEBサイトで購入できますが、輸入された種子は採取日も品種もあやふやなものが多くあまりおすすめは出来ません。某オークションサイトや某フリマサイトで趣味家の方が販売している種子を購入した方が発芽率も高いです。
一般的な多肉植物の交配方法は、花粉のついている雄しべとそれを受粉する雌しべがそれぞれ別れていて、別の個体同士で交互に受粉させることで結実して種子ができます。雄しべと雌しべの形状も特徴的で見て分かりやすいため交配しやすいです。しかし、パキポディウムに関しては花の中を覗いても花粉のついた雄しべも雌しべも見当たりません。パキポディウムは花粉が外についておらず花の中央にある弁(これが雄しべ)の内側に花粉が存在し、その中の下部に雌しべの器官が存在しています。
管理している環境にもよりますが、まだ少し肌寒い3月末頃に生長点付近から花芽らしきものが顔を出してきます。その後グングンと花柄を伸ばしていき、4月入ると花を咲かせ始めます。パキポディウムの中でもデンシフローラムは花をつける茎の部分(花柄)が長めであるのが特徴です。
綺麗な濃い黄色の花が咲きます。自家受粉も稀にするようですが基本的には他の個体と交配させます。花の中を覗いて見える円錐状の器官が雄しべでその内側に花粉が存在します。円錐の弁同士の隙間に細い棒を差し込み上に引き上げると内側に花粉を取り出すことができます。
パキポディウムの花粉は他の多肉植物と異なり外からでは見えない場所にあるため、花粉がしっかりと出来上がるまでタイミングを測るのが受粉の成功の秘訣。花粉親は開花4日後の花粉を使用すること、花粉を採る道具は竹串を使用することが大切かと思います。
花粉を採る道具も針や細いステンレス棒など色々試して見ましたが、竹串の先をカッターで鋭く削った状態を開花4日後(早すぎても遅すぎても良くなさそう)の花粉を使って受粉作業をするとかなりの確率で結実する気がします。
花粉を採る方法とタイミングは掴んだ感じがしますが、大きな課題は花が先揃わないことです。花は10日以上咲いていますが、花粉親の花粉は時間が経ちすぎてもうまくいかないようです。花粉が4日前後で採れて、かつ同じくらいに開花した別の個体が存在していないといけないので、なかなかタイミングが合わないのが悩ましいところです。
開花のタイミングが合い交配して成功すれば3日くらいで子房が膨れ出します。多肉植物の中でも結果がわかるのが早い方かと思います。花粉をつける種子親も開花して時間が経ちすぎてもうまくいかないようなので、その辺りの絶妙なタイミングを感じ取れるかがポイントではないでしょうか。
交配が成功して種子鞘が熟すまでしばらくそのままにします。パキポディウムの種子は遠くまで飛ばすために羽毛のような綿毛のついた種子をしています。鞘に被せ物をしておかないと気がついた時にはどこかに飛んでいってしまうため、排水溝ネットなどで覆っておきます。
花柄が長く種子鞘も大きく重くなってくるので、園芸用の支柱を用意してそこから針金などでネットと種子鞘を固定しておくと、不意に茎を折ってしまわないように保護もできるのでおすすめです。
種子が熟すまで結構時間がかかります。ネットを被せてしばらくすると、徐々に種子鞘の色が黄緑に変色していき3週間後には茶色く真っ二つに割れて、中から羽の付いた種子が出てきます。しっかりと熟し切って自ら種子鞘を割るまでは我慢して待ちましょう。
種子鞘から弾けて出てきたデンシフローラムの種子です。実生の最も大事な要素が種子の鮮度です。採取したら少し寝かせた方が良い多肉植物の種子もありますが、パキポディウムの種子は採ったらすぐ蒔いても大丈夫です。1年くらい低温で温度変化の少ない環境であれば発芽も良好なままですが、なるべく早く蒔いた方が良いです。
種子は風に乗って遠くまで運べるように羽毛のような羽が生えています。これは実生の時には不要ですので手でむしり取っておきます。
1鞘に50〜60粒ほど種子が入っています。全てが熟して実生に適した種子では決してありません。1割くらいは萎んだ発芽しない種子も混じっているので選別しておきます。
種子はきちんと殺菌処理をした方が良いです。発芽させるためには温度と湿度を高くしてあげる必要があり、同時にこの高温多湿の環境は雑菌やカビも好み繁殖しやすい環境にもなります。発芽後の幼苗にカビが生えて腐ってしまう原因は種子の殺菌処理の方法にも問題がある可能性があります。
パキポディウムの種子は種子の中では大きい方で蒔きやすいサイズです。殻で覆われている種子は経験上はガッツリ殺菌処理しても発芽に影響はほとんどありません。市販されている塩素系殺菌剤を使用します。キッチンペーパーに種子を包みその上から除菌剤をかけます。強力なので2、3分あれば十分に殺菌されるのでそのまま洗い流さずに実生用に使用します。
種子同様に用土も殺菌することが大切です。通常用の多肉植物用の用土の表面に赤玉の細粒を敷いて、上から沸かしたお湯をかけてしっかりと殺菌します。しばらく冷ましてから腰水を張ったトレーの中に入れ密閉状態になるように管理します。
腰水状態で密閉した容器は直射日光の当たらないカーテンレース越しの窓辺で管理します。午前中に少し日が入り午後はほぼ日陰くらいでも問題ありません。密閉されているので高温になり種子が煮えないように注意します。28度前後くらいを維持できると良いです。
種子に覆土しても良いですが、蒔いた種子の状態をしっかりと観察するために覆土はしません。種子は水分を含むと膨らんできます。この時点でしっかりと膨らまない種子はほぼ発芽しないと判断できるので取り除きます。殺菌処理をしてもどうしてもカビなどが発生することがあるため、様子のおかしな種子を早めに見つけて処分するためでもあります。
早いもので播種から1日目には殻を破って根が出てきます。発芽には日の当たらないところの方が良いといわれますが、真っ暗でも日の当たる場所でも発芽に関してはあまり関係がないような気がします。大切なのはカビを発生させないことと、高い温度を維持することです。
覆土しない場合は発芽した根がうまく地面に入っていかないことがあります。最初は潜り込んでいかなくてもしばらくすれば自らしっかりと根を張ってくれるのでそのままでも問題はありませんが、最初の根を張る力を無駄にしないことがその後の生長に大きく影響するため、ピンセットで少し穴を空けた後に発芽した種子を摘んで、そっと根を下に向けて植え込んでおくとその後の生長がとても良くなります。
自家採取した新鮮な種子は発芽率も生長速度も抜群です!発芽し始めてから一つづつ植え込んでいったので、その後の根張りもよくぐんぐんと生長し始めてきました。発芽し始めの頃は密閉状態のままでしたが、双葉が出始めたら徐々に蓋を開けて密閉環境をやめていきます。全体的に双葉もしっかりと生えそろってきたら密閉をやめます。日光のよく当たる場所で腰水管理はそのままで管理していきます。
発芽後に根をしっかりと植え込んであげるとその後双葉が生えてきます。この時も種子の殻を取ってあげると生長が早いです。まだほぼ密閉環境で湿度があるのでツルッと簡単に殻を取ることができますが、無理に外そうとして双葉を傷つけないように注意しましょう。この殻はピンセットなどで拾って捨てておかないとカビの原因になるので注意が必要です。
発芽が揃ったら蓋は取って腰水のみの管理に移行します。まだ直射日光に当てるのは苗が弱ってしまうので明るい窓辺で徐々に鳴らしていきます。
ある程度生長してくると本葉が出てきて、このくらいの時期から塊茎部分が太ってきます。同時に徒長しやすくもあるので間延びさせないように注意が必要です。30%ほど遮光した環境であれば屋外管理で大丈夫です。しっかりと日光と風を当ててあげることで徒長させずに太らせることができます。
本葉が生えてきてからは腰水をやめても問題はありません。ただし経験上は腰水で育てた方が早く大きく生長します。その代わりしっかりと日光と風を当ててあげないと、太らずに縦に細長く徒長しやすくもなるのでご自身の管理環境を考慮して判断しましょう。
しっかりと塊茎も太りパキポディウムらしくなってきました。大きくなってきた分周りとぶつかってきてしまっているので植え替えてあげる必要があります。寄せ植えは根っこからホルモンのようなものが分泌されて、寄せ植え状態にしておくと周りと競合してより早く生長しようとする作用があるといわれています。個人的にもそのような影響も少しはありそうなので、小さい苗の時は極力寄せ植え状態で管理するようにしています。
鉢から抜くとしっかりと根が張っていました。狭いスペースにぎゅうぎゅうに寄せ植えをしてしまうと、横に太らずに縦に伸びようとしてしまうので注意が必要です。根も広く自由に張ることで太く大きく生長できるので定期的な植え替えと鉢増しは必要です。
実生しているとどうしても生長の著しい苗と全く生長しない苗が出てきます。初めての実生の植え替え時には置き場所の問題も出てくるので、小さく弱々しい苗は処分していきます。自分の場合は生長の早い優良株は個別に鉢上げして、それ以外の比較的小さめのものは地植えに植え替えて生長を促します。
生長の早い個体は鉢上げして腰水管理をやめて他の鉢同様に管理をしていきます。先に述べたように鉢上げした優良株と地植えした小さい株の生長の対比も記録として残していけたらと思います。
デンシフローラムの塊根(塊茎)を太らせるには、自由にしっかりと根を張らせることと日光と風に当てることです。パキポディウムの中でもデンシフローラムは草姿が縦に伸びやすいのが特徴です。丈夫で育てやすいですが、部屋の日陰にずっと置いているとひょろっとした姿になってしまいます。伸びてしまった状態は決して元には戻らないので、徒長させないようにしましょう。
デンシフローラムは根をしっかりと張らせてあげるとよく生長します。少し大きめの鉢に植えてあげるだけでも太りやすくはなりますが、水やりの管理に注意しましょう。根が十分に鉢に回っていない状態で用土の乾きが間に合わず、追加で水をやってしまうと加湿状態となり、根腐れを起こして枯れてしまうことがあります。
大きめの鉢に植えるといっても一回りくらいの大きさにしておくか、水はけの良い用土を使用するかして加湿になりすぎないようにします。
綺麗に塊根の太ったパキポディウムにするには、実生の時から徒長させないように気をつけることが大切です。小さいうちに植え替えするリスクも当然あります。植え替え直後は少し遮光して水を切らせないように管理しますが、それでも萎んで枯れてしまうものはあります。
しっかりと根をが張り塊根もひび割れが入って太ってきました。地植えは鉢上げした状態よりも地熱の関係で用度内の温度が夜間も高く、より良い生長を促せるといわれているのでその恩恵もあるかと思います。
隣り合う株同士が窮屈になってきたら植え替えてスペーシングを取れるようにします。それ以外はあまり植替えなどはせずに根にストレスを与えないように育てていきます。地植えした状態のデメリットは植えた株の向きを変えられないことです。どうしても日の差す方に傾いきてしまうので、その点は我慢するしかありません。
パキポディウム デンシフローラムのコーデックスとしての魅力は、ポテっとした塊根(塊茎)のシルエットに小さめの刺がアクセントになっているところではないでしょうか。生長してくると枝振も立派になりより魅力的な姿になってきます。小さく丸く育てるには小さい苗から育てた方が良いのでぜひ実生にも挑戦してみてください。
縦に伸びやすいデンシフローラムは単頭で丸く育てるのが難しい気がします。この辺りは好みの問題かもしれませんが、生長していくとよく脇から枝が出てきます。これはこれで迫力のある草姿になるので好きですが、グラキリスに代表されるような壺型にするにはデンシフローラムは難しい品種なのかもしれません。
デンシフローラムの花は少し小さめで濃い黄色をしています。花冠(かかん)は全体的に少しちじれ気味です。また他のパキポディウムと大きく違うのが、花筒と呼ばれる花弁の付け根部分から筒状になっている部分が短く、雄しべ部分が花冠から少し出ています。
パキポディウムの品種の多くは、見た目のみでもなんとなくはどの系統なのかは分かりますが、それだけだと情報不足で判断ができません。そこで次の情報として大切なのが花の特徴になります。自生地マダガスカルの分布する地域によって様々な特徴が出ているので花の特徴でコレクションしてみるのも面白いのかもしれません。
パキポディウム デンシフローラムは生長期は水を好みます。春先に花を咲かせ葉を茂らすタイミングで徐々に水やりの回数を増やしていきます。生長期の6月〜10月までは用土が乾いたらたっぷり水をあげます。日中の水やりは鉢内の温度が高くなるため鉢の中が蒸れてしまい、根が弱って腐ってきてしまうことがあります。夏場の水やりは気温の下がってくる夕方ごろにあげる方が良いです。
気温も10度前後になってくる11月から5月くらいまでは休眠期に入り水の吸い上げが弱くなってきます。
コーデックスはその多肉質の体に水分を溜め込んでいるため、水をしばらくあげていないと塊根(塊茎)部分が萎んできます。注意するのが凹んできたからといって、必ず水不足とは限らないことです。まず鉢を持ち上げてちゃんと用土が渇いているかどうかを見ます。水捌けが悪く風通しも悪い場所で管理していると、加湿気味で根腐れを起こして水を吸げる力がない場合があるからです。
水をうまく吸えていない場合は、鉢から出して傷んだ根を取り去り本体に腐りがなければしばらく傷口を乾燥させて上で、新しい用土に植え替えてしばらく水を与えずに様子を見ます。2週間くらい放置していて凹んでいても元気になり水を吸うようになればすぐに膨らんでくるので心配はいりません。
朝方15度を下回る日が出てくるとチラホラと紅葉してくる株があります。冬は生長が鈍くなり水もほとんど吸わなくなるので、落葉してきたら徐々に水やりの回数を減らしていき冬の準備を進めていきます。
11月に入ると夜間に10度を下回るようになり落葉するデンシフローラムも出てきます。完全に落葉するまでは用土の乾きを確認しながら水やりはします。ただし鉢底から溢れ出すほどには与えずに用土に対して半分くらい湿らす程度です。
完全断水をしてしまうと休眠期明けの春の立ち上がりに調子を崩すので、よく晴れて気温の高くなる日中にさっと用土の3分の1程度に水やりをします。
1年未満の実生苗も厳冬期に向けて落葉して休眠に入ります。小さな実生苗は低温に晒すと枯れてしまうので、可能な限り15度以上に保てるようにしてあげましょう。大きめの株と比べて体力が無い分この間にシワシワになって枯れてしまう実生苗も出てきます。日によく当てながら適度に水やりをして冬越しをします。
休眠期だからといって日陰にしまっておくのではなく、よく日光に当てて耐寒性を高めておきましょう。葉が落ちても幹肌で光合成を行えるのでしっかりと日光に当てておきます。
紅葉して落葉した後はきちんと片付けておきましょう。枯葉をそのままにしておくと雑菌などが繁殖しやすくなるためです。紅葉しているからといって無理に葉を取ることはしてはいけません。茂った葉の養分が枯れて落ちるまでに株の塊茎部分に運ばれて蓄えられるからです。自然と葉が落ちるまで待ちましょう。
パキポディウム デンシフローラムは室内で光合成用のLEDライトを使用して育てることも可能です。その場合、気温変化が少なく冬の時期でも落葉せずに越冬する場合があります。葉を落として越冬させなくても生長に大きな支障はないと思いますが、開花させたい場合などはある程度外の季節に合わせた管理にしないと花が咲かない場合もあるので注意しましょう。
パキポディウム デンシフローラムの病気について気がついたことを更新していきます。
生長点付近が黒ずんでくることがあります。これはほとんどの場合が根腐れが原因です。株を触るとブヨブヨになっていたり、少し力を入れて動かしてみると根がきちんと張っておらず腐っていることがあります。画像のように黒く腐ってきている場合はほとんどは枯れてしまいますが、画像は落葉する冬の時期で株もしっかりと固く、根もしっかりとはっているようなので様子見です。
株が健康かどうかは生長点の様子を見れば大体わかります。綺麗な黄緑色で健康的な色であれば特に異常はないと思いますが、パキポディウムは突然腐ったりもするのでちょっとした変化も見逃さないように注意しましょう。
カイガラムシやハダニがつくことがあります。害虫の発生サイクルは比較的短くとても早いので、定期的な殺虫剤の散布が欠かせません。春先など暖かくなってくる時期前に散布して害虫の発生を防ぎましょう。
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