ぽてっとした塊根から細い枝葉が広がる塊根ユーフォルビア。小型種で耐寒性もあり育てやすくおすすめのコーデックスです。
小型種は実生株も早めに開花するので交配を楽しむことも出来ます。
比較的丈夫な性質で育てやすいコーデックスです。生長はとても遅く小型種なのでそこまで大きくならず、置き場所も取らないのも魅力です。
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増やし方は実生、挿し木になります。実生に関しては小型種なので実生2年くらいで花を咲かせ、春先から落葉する厳冬期まで花を咲かせているため、交配のタイミングも多く実生もしやすい印象です。
実生自体は比較的簡単です。キリンドリフォリアは、ユーフォルビアには多くみられる、めしべかおしべどちらかが先に成熟する「雌雄異熟」になります。雄しべ、雌しべのどちらかが交互に成熟し、自家受粉を避けて他の個体と交配しやすくなる仕組みです。
キリンドリフォリアの花は年中咲いているので交配、実生の機会は多いかと思います。先に黄色い花粉がポロポロとつく雄しべ先熟かと思われます。触って手に花粉がつくくらいになったら雌しべにそっとつけます。
花粉のつく雄しべの花が咲き終わると、小さな柱頭が特徴の雌しべが咲き始めます。別の個体から花粉をとり飛び出ている先端につけておけば交配完了です。とても小さく地味な花ですがそこも含めて可愛らしいです。
小型種の花はとても小さく鈴なりにたくさん咲かせてくれる分、小さな花の中で交配作業させるのでかなり疲れます。また、年中咲いてくれるので途切れることなく交配作業が出来てしまうのが逆にきついです。
交配はピンセットで花粉をとり交互に交配させていきます。受粉し1ヶ月くらいすると子房が膨らんでくるのでわかりやすいです。
膨れてくる過程でパンパンに膨れているものと、少しだけ膨れてそれから大きくならないものがあります。この途中から大きくならないものは、最後に弾けて収穫した種子もスカスカで発芽しません。
数も多く花を咲かせてくれますが、こうしたハズレの種子も結構多く出てきますので、途中であまり大きくならないものは摘み取るのが良いと思います。
ユーフォルビアの種子は硬い殻が割れて自然に弾け飛びます。この弾けるまでの期間はまちまちで、ぼやっとしている気がついたら割れてどこかに飛んで行ってしまいます。
割れても鉢の根本あたりに落ちていればまだ拾うなどして回収できますが、この弾け飛ぶ威力がすごく2Mくらい先の別の鉢の上から発芽してくる時もあります。
排水用のネットを被せて種子が飛んで行ってしまうのを防ぎますが、花が小さい上に数も多く枝分かれしているので、ネットがかけにくいのが難点です。
ある程度子房が大きく膨れてきたらボンドで固めてしまう方法などもあるようですが、個人的にはボンドのタイミングやその後の殻を割る作業の手間が大変そうなので、一房ずつ小さく切ったネットを針金で留めていく作業をしています。
弾けた種子を回収したら蒔く準備をしていきます。ほとんどの場合が一つの花に1mmほどの小さな種子が3つ取れます。
ただし、花粉がうまくついていないためか、株の体力的なところか、弾けてもスカスカな状態のものもあります。
しっかりと中身の詰まった種子でないと発芽しないので注意しましょう。目で見てもダメそうな種子はわかりますが、少し指でグシグシするだけでスカスカな種子は崩れてしまうのでわかります。
発芽の画像を保存し忘れましたが、こちらで大体2ヶ月ほどが経過した実生です。実生用の用土は水捌けの良いサボテン・多肉植物用の用土の表面に赤玉細粒などを薄く敷いたものを使用します。用土自体は熱湯を上から満遍なくかけて殺虫・殺菌をしっかりと行います。
小型種というのもあるかと思いますが、生長は遅い印象です。1ヶ月を過ぎて双葉から本葉が出始めたくらいから、著しく生長してくるものや、明らかに生長しない個体差が出てきます。もう少し大きくなってきたら同じ大きさ同士にグループ分けして植え替えをしても良いかもしれません。
現地ではその特徴的なぽてっとした塊根部分のほとんどが地中に埋まっています。鑑賞の観点からこの塊根部分を少し地上に出して楽しみたいところですが、生育上は少し埋めて管理した方が塊根部分も太りやすく調子は良さそうです。
塊根を太らせて魅力的な姿にするには、本来地中に大半が埋まっている塊根部分を埋めてあげた方が太りやすくはなります。ただし、とても成長が遅いので太らせるにもかなり時間がかかるため、鑑賞の観点からも埋めないで、少し大きめの鉢に植えて年に一度は植え替えをきちんとしてあげれば、少しづつですが大きくなってくるかと思います。
とはいえ、本来埋まっている根の部分を地表に出すのは不健全な状態になるので、ある程度は太る箇所と根として機能を持つ箇所を見極めて植え替えた方が良いです。
この画像の株はわかりやすい例です。ちょうど真ん中から下半分が根として地中に埋めた方が良いラインになるかと思います。なぜそうしていないかは、交配がしやすいようにするためです。
地表を這うように伸びる枝に下向きに咲かせる花は、人間が交配させるには難しくかなりストレスになるからです。
生長の遅いキリンドリフォリアですが、年に一度はしっかりと植え替えた方が生育は良さそうです。塊根部分をどう魅力的にみせるのか植え替え時は仕立てる楽しさもあります。
こちらは挿し木で増やした株です。挿し木の切り口から複数の根が出て、それぞれが太く形成されている感じです。個人的にはこれはこれで魅力的な塊根になっているとは思いますが、太く一本の幹のような塊根には挿し木の場合はなりにくいと思います。
ただし、挿し木でもちゃんと塊根は大きくなるので剪定した枝をしっかりと管理して育てるのもおすすめです。
こちらは実生のキリンドリフォリアで、しっかりと太く一本の塊根ができています。やはり実生の塊根の魅力度はかなり高いですね。
生長が遅いからこそ毎日見ていても飽きない魅力が実生苗にはあると思います。この株の場合は植え替え時の仕立てる見立てはすぐに決まりますが、株によってはどこまで地表に出すのか悩ましいものもあるので、そこも含めて植え替えを楽しみましょう
休眠期である冬は落葉して活動が停滞します。寒さには弱くはないようですが、10度を下回る日が続くと厳しそうです。日中はしっかりと温度が上がり、夜間も可能であれば10度を下回らないように管理しましょう。
葉も枯れて根が水を吸い上げにくい冬の時期の水やりはほぼしません。ただし、完全断水は春先の立ち上がりが悪くなるので、よく晴れた日が続く日中に表面を濡らす程度に、月一くらいで水やりをします。
厳冬期明けの春先の強い紫外線や高温になる真夏の直射日光は葉焼けを起こしやすくなりますので注意が必要です。それぞれの生育環境にもよりますが、四方を囲った簡易ハウスなど密閉空間に近い環境の場合は、直射日光は避けて50%遮光でも徒長などの心配はないかと思います。葉が赤く変色してきたら葉焼けの可能性を考えるようにしましょう。
ある程度成熟した株を専用の温室の地植えにしてみましたが、結果的には地植えはやめました。とにかく生長が遅いのと地植え特有の水やりのタイミング、病害虫のリスクなど考えると、鉢上げして楽しんだ方が良いかと思いました。
ユーフォルビア キリンドリフォリアは丈夫なので今のところ病気にはかかっていません。気になることなどがあればこちらを更新しようと思います。
カイガラムシがつくことがあります。市販の薬剤を定期的に散布し、風通しの良いところで管理しましょう。
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